歯科医院を開業して経営するタイミングはいつ?資金や年収は?

目次


 

 
歯科医院の勤務医の先生方とお話をすると、よくご質問いただく内容があります。
歯科医院を開業するベストのタイミングはいつなのか?
どの程度の技術があれば失敗のリスクを下げることができないか?
成功する立地・物件の特徴はどんな立地・物件のなのか?
このページはそんな「新規開業」のお悩みやご質問にお答えします。

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歯科医院開業のタイミングは医師のスキル、地域の情報がそろった時

勤務医としての複数の歯科医院で勤務を経験し、
技術面でも、患者さんとの対応なども慣れてきた30歳前後。
個人としてのキャリアプラン、人生設計から考えると、
そろそろ動き出さないと金融機関からの借り入れ額の影響もあるだろうし・・・
早々に歯科医師以外のセカンドキャリアを想定されている場合には時間が足りない・・・
そのようなことを考えながら、
勤務している歯科医院のお休みの日に立地・物件などの
調査に時間を使っているという方が多いのではないでしょうか。
よく「開業するタイミングを迷っているんです・・・」と
ご相談いただく方も多いのですが、
我々が考える開業して成功するベストタイミングは「歯科医師スキル」が充実し、
自身が「50歳を迎えたときの歯科医師像・歯科医院像」を描け、
開業を予定する「立地特性」を正しく理解できたときがベストと考えます。
「歯科医師スキル」を細分化すると、

  • 現在の勤務先で保険点数を30万点/月をあげることがある
  • 1日あたり20人前後の治療をあたることができる
  • 自費補綴・インプラント・矯正・義歯などの自費分野で100万円/月をあげることができる
  • 患者さんからのクレームに対応することができる

「50歳を迎えたときの歯科医師像・歯科医院像」を細分化すると、

  • 自身の目指したいと思える歯科医院をイメージできているか?もしくは知っているか?
  • 年間売上はどのくらいをイメージするか?自費率はどのくらいをイメージしているか?
  • 歯科医師以外の活動を視野に入れているか?

「立地特性」を細分化すると、

  • 一等立地・二等立地の特性を理解して、自身の歯科医師・歯科医院像に照らし合わせた見方をできているか
  • 開業を予定する市町村の人口推移や動向を理解している
  • 歯科にまつわるローカルルール(保険制度や平均点数、歯科衛生士求人)を理解している

※一等立地とは・・・

駅前や通行量の多い1階の立地や幹線道路などロードサイドなどを一等立地といいます。
駅前でも2階や3階の場合や幹線道路から外れた立地であれば一等立地とは言えません。
メリットは目につきやすいため、歯科医院の存在を認知させることができますが、
その分、デメリットとしては、不動産情報が出回る数が少なく、テナント料が高くなりやすいため、
早期でのスタートダッシュやキャッシュフローを気にする必要があります。

※二等立地とは・・・

二等立地とは、一等立地とは異なり、
普段生活している中では認知されにくい立地のことです。
そのため、広告や看板等を積極的かつ効果的に活用することが必要となります。
その分、初期費用(保証金、礼金、仲介手数料)

歯科医院の開業で陥りやすい失敗は物件・人材・資金!?その対策方法は?

開業を検討し出してまずぶつかる悩みが、
「成功する立地・物件と失敗する立地・物件」の見分け方は何か?
過去に勤務されたことのある医院数は平均3件、多くても5件程度だと思いますので、
その経験から導きだす「成功」と「失敗」では、正直心配ですよね。
また、歯科ディーラーやメーカーの方々からも、
たくさんの物件情報を提供してもらうが、
その物件の良し悪しがわからないということがほとんどだと思います。
「50歳を迎えたときの歯科医師像・歯科医院像」を前提としますが、
そこからの逆算で物件や立地を検討すべきと考えます。

Ⅰ.チェア3~4台・年間売上6,000~8,000万円モデル

院長年収イメージ:1,300~1,800万円
坪数:30坪未満
開業時の自己資金目安:~2,000万円
こちらは大都市圏や政令指定都市部で多いモデルです。
基本的には上記の一等立地での開業がベストです。
二等立地以下での開業は、苦しい戦いになってしまうことでしょう。
立地の特徴はテナント料・人件費が高くなってしまう傾向があります。
保険8割、自費2割程度の診療体制となりますので、
インプラントや矯正などの専門性の高い治療などは持たないことが多いです。
多くの歯科医院さんは、開業10年程度でこのゾーンに達しますが、
開業時の借金(借入)も返済が完了し、
経営者マインド・歯科医師マインドともにコンフォートゾーンに陥ることで、
様々なところに支障が出てきます。
特にこの頃から患者数の減少や業績の低下(もしくは横這い)が続きます。
開業してから10年間で外観・内観は一昔のものとなり、
レセコンなどの機器や医療器具も故障などが目立つようになり、
大きな投資が発生するのもこの時期です。
この時期に第二創業期という意識で、
積極投資と業績アップ策を図ることをお勧めしています。
そうしなければ、現状時期を続けることで、
数十年後には患者さんから「昔ながらの歯科医院」という見られ方となってしまうことでしょう。
また、一方でこのスケールの物件は居抜き物件として出回ることも多くなっています。
「歯科を経営していたが何かしらの理由で廃業(閉院)してしまって売りに出ているパターン」や
「事業承継を行いたいが親族などの歯科医師がいないパターン」など様々です。
この場合は一見、既に歯科医院を開業していた歴史と認知度があるように思われますが、
立地特性が、二等立地以下であることも多いため注意が必要です。

Ⅱ.チェア5~8台・年間売上10,000~20,000万円モデル

院長年収イメージ:1,800~3,000万円
坪数:50坪以上~100坪未満
開業時の自己資金目安:~3,000万円
中都市圏などや郊外のロードサイド立地などで多いモデルです。
地方商圏でご自宅兼診療所としているケースも多く見受けられます。
自宅を兼ねている場合にはテナント料はかかりませんので、
経営収支は良いものとなるでしょう。
一方でテナント料が発生する場合には、
毎月50万円、年間600~1,000万円程度発生する計算となります。
人員体制は、勤務医を2~3名程度、歯科衛生士も3~5名程度、
全体で20名弱の組織になります。
売上構成比は保険7割、自費3割という診療体制となり、
補綴治療以外にも、インプラント・矯正などの高度治療のうち、
いぜれか1つに強みを置くことができるスキルを有していることが条件となります。
売上だけではなく、利益も十分に確保できるようになりますので、
設備投資や人材採用へ投資が可能となります。
また、予防分野の強化により毎月安定した患者数の見込みを立てることができ、
高い利益率で医院経営に貢献してくれることでしょう。
このステージの医院のキーポイントは、「人財採用」となり、
昨今では、歯科医師・歯科衛生士の有資格者だけでなく、
歯科助手・受付などの無資格者が難易度が高まっています。
このステージになれば資金調達もそこまで苦労は少なく、
融資も受けやすいのが特徴です。
目安として、年齢で40~45歳でこのステージまでに駆け上がることができれば、
その後の50代、60代を安心して迎られる可能性が高まります。

Ⅲ.チェア10台以上~・年間売上20,000~40,000万円モデル

院長年収イメージ:3,000万円~
坪数:100坪以上~
開業時の自己資金目安:~4,000万円
主に地方商圏で地域一番化した歯科医院がこのゾーンです。
テナントであっても地方商圏であるため、坪単価は高くないため、
売上に対しての効率性は高くなります。
人員体制は勤務医を5名以上、歯科衛生士も10名程度、
全体で40名程度の組織になります。
マネージメントの観点からも、トップ(院長・理事長)だけでは目が届かず、
職種別のトップを作ることや明確なビジョンや行動指針など提示することも必要となります。
歯科医師と経営者のバランスを考えながら、
医院自体を家業から企業へ移行させていくタイミングでもあります。
売上構成はさまざまですが、
一般診療からインプラント・矯正などの高度治療や訪問診療まで行う、
総合型歯科化となっていることがほとんどです。

歯科医院の開業時や収益が不安定な時期にまとまった資金が必要になった場合に

日本政策金融公庫から借り入れるのもお勧めです。
日本政策金融公庫とは国が100%出資する金融機関のことです。
開業時や開業後のユニットや機材の購入、改装リニューアル、建築等で、
資金調達が必要となった場合などに活用できます。
銀行ではなく、政策金融公庫で借入をしてもらうメリットは
無担保無保証で※最大4800万円まで借りられるということです。
※時期や借り入れ側の状況によって変化します。
金利だけを見るとそこまで低くはありませんが、
無担保無保証で借り入れができるのが特徴です。
また、300万円などの小口の場合でも活用できるのもポイントです。

歯科医院の開業時には専門性・専門医資格があればベスト

近年、開業される早期で人気歯科医院になる先生の特徴なのが、
「開業時から専門性を打ち出している」という点です。
以前から、ターゲットをお子さんやその親御さんに定め、
医院設計などを行っている医院さんなどは多くあったと思いますが、
開業時から「小児歯科×予防矯正」で特化した歯科医院などが誕生しています。
また、勤務医時代からマウスピース矯正のインビザライン症例を数多く保有し、
インビザライン特化型の歯科医院を開業する方もいらっしゃいます。
もう少し一般化しているパターンであれば、
開業前からインプラントや歯周病分野で専門性を追求し、
専門医資格を取得してから開業することで、
キャッシュフローが不安定な時期から安定した収益を立てることことに成功している医院も多い存在します。

歯科医院の開業までの流れは?

最後になりますが、歯科医院開業までの理想的な流れ・スケジュールを記載したいと思います。
基本的なフローは同じではありますが、
テナントでは8か月程度で開業、戸建てでの開業では12~14か月での開業がオーソドックで、
土地や設計・建築などの打ち合わせが発生すると6か月程度長くかかります。

テナントの場合の例

8か月~2年前

  1. 歯科医師像・医院像の検討
  2. モデル医院の選定&見学
  3. 立地選定

6~8か月前

  1. 立地交渉(賃料・敷金・保証金・面積・共有スペース、ルール確認)
  2. 事業計画作成+融資の打診
  3. 内装・外装の打ち合わせ

5か月前

  1. テナント契約
  2. 内装・外装工事開始

2~5か月前

  1. 医療機器の選定
  2. スタッフの募集活動⇒面談
  3. ホームページなどの広告の準備

1か月前

  1. 保健所開設届け
  2. 保健所検査・保険医療機関指定
  3. 内覧会準備

1週間前

  1. プレオープン(親族や関係者を招いての導線確認など)
  2. 内覧会の開催(認知度アップとアポイントの取得)

※内覧会は外部業者へ委託することをお勧めしています。費用は50~130万円程度

他にも歯科医院開業の最新トレンドも抑えていただきたいので、ぜひこちらのコラムもご覧ください。
歯科医院における新規開業の新常識

【他の歯科医院経営メソッド特集】

・歯科医院経営と資格の関係性の正しい理解と人材採用・育成方法について

・倒産させない歯科医院開業と経営
 

 

開業レポート


開業後の成功の秘訣は、「戦略的な差別化(立地・規模)」「戦術的差別化(商品力・接遇力・販促力)」です。事前に考えておくべき、開業前準備のポイント・スケジュールを解説します。

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セミナー講座とテキスト内容

◆開業前に考えること(船井流差別化の8要素)

◆開業の立地選定

◆開業準備のスケジュール

◆事業計画策定

◆商品力向上の施策

◆接遇力/患者固定化の施策

◆販促力の施策

◆採用で成果の出る条件設定

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