歯科医院の経営力向上や開業支援をするコンサルティング会社への依頼について
目次
本ページでは、
「歯科医院の経営力向上や開業支援をするコンサルティング会社への依頼について」
記載させていただきます。
弊社も1970年創業の経営コンサルティング会社であります。
特徴は、業界や業種ごとに専門のコンサルタントがいることです。
歯科医院コンサルティングユニットには、歯科医院様から
日々多くのご相談をいただいており、その多くがマイナスな内容です。
また、皆様もお気づきかと思いますが現在の歯科業界は競争市場であります
売上が減少している医院だけでなく廃業に至る医院も存在します。
弊社にお問い合わせいただく内容を詳しく見ていくと、
「新患が少なくなった」
「売上が減少してきた」
「予防患者を増やしたい」
「事業承継について聞きたい」
「スタッフ教育をもらいたい」など多岐に渡ります。
ご相談をお受けしていると、
「結局、コンサル会社は何をしてくれるの?」
「コンサルティングを受けて効果は出るの?」
「他のコンサル会社との違いは?」
「コンサルティング料金はいくらなの?」
といったご質問をいただきます。
本ページでは、下記の2点について記載させていただきます。
- 歯科医院業種が置かれている厳しい市場環境について
- コンサルティング会社について
歯科医院業種が置かれている厳しい市場環境について
歯科業界は、競争市場であり厳しい状況であることは言うまでもありません。
しかし、実際に何がどのように厳しいのか、そして今後の歯科業界はどうなるのか、
この明確な回答をお持ちの方は少ないでしょう。
今回は、改めて現在の歯科業界市場を解説、そして今後の取るべき戦略を記載いたします。
コンサルタントであれば誰でも聞いたことがあるかと思いますが、
PEST分析というフレームワーク(思考の枠組み)を用いて歯科業界を見ていくと
非常に理解しやすいです。
PEST分析とは、下記の4つの観点で捉えるということです。
- Politics(政治的要因)・・・法律、法改正、増税など
- Economy(経済的要因)・・・景気動向、物価、消費動向など
- Society(社会的要因)・・・人口動態、少子高齢化、流行など
- Technology(技術的要因)・・・IT活用、インフラ、イノベーションなど
歯科業界に当てはめてみると、
Politics(政治的要因)
歯科医療費横ばい
平成の初め国民医療費は約25兆円、2012年には約39兆円、2025年には約54兆円にまで増加するとされています。
対して、歯科医療費は約2.5兆円から約2.7兆円の間を横ばい。
歯科医療費が増えずとも、歯科医院数は増加し、今では全国に約69000件。
単純に、(歯科医療費/歯科医院数)=1医院あたりの保険収入となります。
平成8年は1医院あたり約4,300万円、平成19年には1医院あたり約3,400万円までに
落ち込んでいます。
上記の数字をもって、「保険診療は止めた方が良いです」というお話ではありません。
競争市場が激化している現実と、保険診療だけに頼った歯科医院経営の存続が厳しくなっているということです。
医療法改正によるWebマーケティング激動
行政から、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」を2017年6月14日に公布されました。
医療業界の特徴として、広告規制の厳しさが一つあげられると思います。
元々、ホームページは広告と見なされていなかったため、
悪く言えば、何を記載していても規制されることはありませんでした。
しかし、この改正によりホームページも広告に含まれ、規制対象となります。
さらに、日本全国の医療系Webサイトをパトロールし
ガイドラインに違反したWebサイトは、行政指導から中止命令、
告発、悪質な場合は管理者の変更、病院等の開設許可の取り消し、
期間を決めての施設閉鎖等の行政処分が行われます。
これは脅しではありません。現に、薬事法の改正の際に
閉鎖させられたWebサイトが数千あると言われています。
掲載が規制される内容は、
- 広告できない事項の暗示的表現(例:症例写真)
- 客観的事実と証明できない広告(例:患者様の声)
- 品位を損ねる内容の広告(例:○○キャンペーン)
- 最上級表現(例:最新設備、最高の治療)
と抽象的な表現です。予想ではありますが、例のような内容かと思います。
Economy(経済的要因)
1世帯あたりの平均所得金額の激減
全世帯の1世帯あたりの平均所得金額は、
平成6年は664万円でしたが、平成26年には541万まで減少しました。
平均所得が100万円以上下がっています。
ここから何が言いたいかと申しますと、
自費治療の金額との訴求方法を再考する必要があります。
今まで通り(原価の〇倍)に価格設定するのではなく、地域性、競合歯科医院を考慮して
価格を決定していく必要があります。
また、前と比べて自費治療内容を分かっていなくても、「先生が良いと思う治療をお願いする」患者様は減少していくと考えられます。
自費治療と保険治療の違い、その自費治療は患者様にとってどんなメリットがあるのか、
今まで以上に詳細かつ丁寧にカウンセリングをする必要があります。
共働き世帯の激増
最近では、共働き世帯というキーワードが当たり前になってきたかと思います。
1980年代は、専業主婦が約1100万世帯、共働きが約600万世帯でした。
しかし、1995年には逆転現象が起き、
2016年には、共働き世帯約1129万世帯、専業主婦世帯664万世帯となっています。
その要因は様々あります。
ここで問題となるのが待機児童と言われる認可保育に入ることができないお子様が多いことです。つまり、共働きしたくても出来ない母親が多いということです。
特に、歯科業界はまだまだ夜遅くまで働いている医院様もありますし、
雇用形態が正社員・パートと多様な働き方が整っていない医院が多いです。
対して、一般企業は17時18時には退社でき、社会保険は完備、育休産休などライフステージに合わせた働き方が認められる会社も多くなってきております。
実際、登録している歯科衛生士の半数以上は潜在化しています(歯科医院で働いていない)。
退職理由で最も多いのが「出産・育児」です。再就職を希望している方も多いのですが、
そのうち約半数が「勤務時間」を理由に、歯科医院に再就職しないでいます。
歯科業界は、女性社会です。ライフイベントがあり職場を離れる可能性が高いです。
採用に力を入れるだけではなく、定着率を意識して、時短やライフステージに合わせた働き方を検討していく必要があります。
Society(社会的要因)
日本人口減少
1950年約8400万人だった日本人口が今や、約1億2700万人となっています。
しかし、世の中で話題となっている少子高齢化の影響も受けて、
2060年には約8700万人まで減少すると言われています。
つまり、ここ60年で約4000万増加し、この先の40年で約4000万人減少するということです。
日本人口が異常な減少を見せれば、歯科医院に通う人口が減ります。
(日本人口÷歯科医院数)=1歯科医院あたり患者数
が算出できます。
1975年は3437人でしたが、2008年1875人と半減しています。
歯科業界が競争市場になっていることがデータから見ても理解できます。
しかし、人口減少を理由に、この競争市場はまだまだ激化していくということです。
少子高齢化
患者様だけではなく、採用においても競争は激化していきます。
少子高齢化といわれているように、日本人口における年齢層の割合が変化してきております。高齢者比率が2025年には30%、2060年には40%になると言われています。
労働生産人口が減少していくため、一般企業でもそうですが歯科医院でも
採用市場はまだまだ激化していきます。
採用に注力するだけでなく、今いるスタッフの定着を考えていかなければなりません。
Technology(技術的要因)
Webマーケティング
Webマーケティングの発展により、今までとは集患経路が変わってきています。
口コミや通りすがりが新患経路のほとんどでしたが、
今では新患の約半数がWeb経由という医院様が多いです。
「うちは田舎だから・・・」「高齢者多い地域だからね・・・」とよくご質問いただきますが、既に日本全国Webマーケティングは進んでおり、日本人口の80%以上がインターネットを利用しています。
Webマーケティングに注力することは、今や歯科医院経営にとっては必須項目となっています。
IT化
テクノロジーの発展により、今まで人が行っていたことがロボットで代替できるようになりました。歯科業界でも、ロボットによるインプラント手術の成功や、自動精算機の導入、自動音声予約システムなどがあります。
近いうちに、今まで人が行っていた職業がなくなっていくことが予想されます。
以上、PEST分析に沿って見ていただいたように、
今の歯科業界は競争市場にあります。さらに、今後激化していきます。
いち早く戦略をたて、対策を取っていかなければ生き残れない市場です。
ですので、今や歯科医院特化コンサルティング会社が多く存在するのです。
歯科医院に特化したコンサルティング会社が提供する成果や実績例について
そもそも、コンサルティングと一口にいっても、戦略コンサルティングから総合コンサルティング、教育コンサルティングなど多数あります。
弊社(船井総合研究所)は、総合コンサルティング会社であり100業種以上のクライアント様をコンサルティングしております。各コンサルタントは、複数業種に対してではなく、業種特化型でコンサルティングを行っていきます。
コンサルティングにも、業種特化とテーマ特化があります。
業種特化・・・歯科医院特化コンサルティング、不動産特化コンサルティングなど
テーマ特化・・・採用コンサルティング、教育コンサルティング、財務コンサルティングなど
その他、税理士系、衛生士系、社労士系など本業にコンサル付加した形のコンサルティング会社もあります。
歯科医院特化コンサルティングに依頼することは、当然ながらメリットもデメリットもあります。
メリットとしては、その業界知識やノウハウが貯まりやすい事です。一つの業種に専念しているため、集約されやすいということです。
デメリットとしては、業界に偏りすぎる可能性があります。いわゆる近視眼になる可能性があります。
経営改善・経営力強化に注力したコンサルティング会社のサービスと効果・その費用感について
経営改善と経営力強化について記載いたします。
違いは、短所是正(マイナスをゼロ、またはプラスに)か長所伸展(プラスをより大きなプラスに)かです。
歯科医院経営に必要な要素として主に挙げられるのが、マーケティング・マネジメント・ファイナンス・スキルの4つです。歯科業界におけるそれぞれの詳細は、下記です。
- マーケティング・・・集患・固定化・自費率アップ
- マネジメント・・・採用・教育・評価・定着、組織化
- ファイナンス・・・PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)・CS(キャッシュフロー計算書)
- スキル・・・治療技術、接遇
コンサルティング会社も、歯科業界特化コンサルティングというジャンルの中にも更に、
得意な領域が存在します。(マーケティングコンサルティング、マネジメントコンサルティング、ファイナンスコンサルティング、スキルコンサルティングなど)
例えば、税理士系であれば、診療原価・福利厚生・人件費・設備投資など最適化したり、コスト管理のファイナンスコンサルティングをメインに行います。
衛生士系であれば、接遇から臨床、カウンセリングまで能力を研修により開発していくスキルコンサルティングを行います。
弊社(船井総合研究所)は、スキル以外は行っております。
会社として得意な領域がある場合や、弊社のように各コンサルタントが得意領域を持っていることもあります。
今現在の状況やニーズに合わせてご依頼、ご相談いただくのが良いかと思います。
費用に関しても、会社と内容により全く違います。
単発・短期間のサポートから、長期的なサポートまでとコンサルティング期間も自由です。
新期開業に注力したコンサルティング会社のサービスと効果・その費用感について
新規開業支援、または分院展開に特化している歯科医院コンサルティング会社も
いらっしゃいます。さらには、開院時に行う内覧会に特化した会社もあります。
主に行う新規開業・分院展開時のコンサルティングは下記です。
・物件調査
・競合歯科医院調査
・診療圏調査・分析(人口特性、年収層など)
・医院戦略決め
・Webサイト戦略決め
・内覧会
・ミーティング体制構築
・カウンセリング体制構築
などコンサルティング会社により行う範囲は変わってきます。
弊社では、物件調査と内覧会以外は行っております。
ただし、行っているか否かだけではなく、それぞれコンサルティングの中にも得意領域があります。歯科にも、インプラント・義歯・矯正・補綴など複数診療内容はあり、
ドクターであれば誰でも行うことは可能ですが、技術差や得意領域があるのと同様で、
コンサルティング会社にも、開業が得意な会社、財務コンサルティングが得意な会社、
マーケティングコンサルティングが得意な会社などあります。
状況やニーズに応じて、使い分けていただくのが宜しいかと思います。