健全な歯科医院経営の第一歩。マニュアルの導入とその効果について


 
最近、多くの歯科医院様から「スタッフ向けのマニュアルが欲しい、または作成したい」というお話をいただきます。
何故、このようなお話が多いかと申しますと、人材不足な歯科医院が多いからです。
つまり、教えたりサポートする人間がいないためになかなか仕事を覚えなかったり、治療を我流で覚えてしまって質が下がったり、それが原因で患者様からクレームが入ったりと医院経営に対して様々な悪影響が及んでいるためです。
言わずもがな、クリニックだけではなく、日本全体で超人材不足社会です。
2016年時点で、約250万人不足していると言われています。
2025年には、生産年齢人口(15歳~65歳)が58%にまで減少し、
国の成長により左右しますが、内閣府のデータから試算すると
低成長(0.8%成長)で約580万人の不足、
高成長(2.0%成長)で約1255万人の不足と
今の比ではないほど圧倒的に人手不足になるということです。
歯科業界は特に、有資格者が占める割合が高いので、
人材不足がより厳しいのは言うまでもありません。

  • 有効求人倍率・・・1.56倍
  • 歯科医師求人倍率(医師、薬剤師等)・・・6.27倍
  • 歯科衛生士求人倍率(新卒)・・・20.5倍
  • 歯科助手兼受付求人倍率(従業員300人未満企業求人倍率)・・・6.45倍

例えば、新卒歯科衛生士の20.5倍は、どのような状況かと申しますと、
2050歯科医院で、100人の新卒歯科衛生士を採用しようとしている状況です。
日本人口の減少が予測されておりますが、その予測によると
2060年までの約40年で、日本人口1億2700万人から
約4000万人が減少します。つまり、2060年には8000万人台になります。
さらに、8000万人台の高齢化率はおよそ40%です。
この人材不足社会は、今後今まで以上に激化していくことが予想されます。
その前に、定着率・生産性を上げていく必要があります。

作業の質の向上や均一化を図るスタッフ向けマニュアルについて

昔は、「目で見て、体で覚えろ」という教育スタイルでしたが、今はどこを見てもマニュアルです。しかし、マニュアルが整備されていない歯科医院様が非常に多いのが実情です。
何故なら、毎年新卒や中途が入社する歯科医院は珍しく、たまに採用する程度ですので、
マニュアルを作る必要性があまりありませんでした。
ただ、最近の傾向として、マニュアルが採用において一つの特徴、場合によっては
前提条件となっているほど重要になってきております。
いわゆる「ゆとり世代」「マニュアル世代」と呼ばれている世代が就職し始めたのが
影響していると予想されます。ゆとり世代がマニュアルを重視しているか、何故マニュアルに頼るのか、この場では議論を避けますが、確実にマニュアルが重視されています。
合同説明会に参加させていただくと、
昔は「成長」「自費治療」「外部セミナー」などの成長意欲が旺盛な方対象のワードが多かったのですが、今は「マニュアル完備」「院長がマンツーマン」などのワードが散見されますし、実際の反応率を見ても、後者の方が高いです。
それ以外にも、冒頭で述べた人材不足が、仕事の質の低下に繋がっているケースもあります。
人が少なく医院が忙しすぎて、教える時間がなく

  • なかなか仕事を覚えなかったり
  • 自己流で覚えて質が下がったり
  • 患者様からクレームが入ったり

と医院経営に対して様々な悪影響が及んでいます。
上記のような状況を打開するために、採用に力を入れつつも、教育体制を整えていく必要があります。
その一つが、「作業の質の向上や均一化を図るスタッフ向けマニュアル」の制作です。
ですので、マニュアルを作成するメリットや目的は下記の2点がメインとなります。

  1. 人材採用の訴求ポイント
  2. 人材不足を補う教育体制

では、実際にどのように作っていくかですが、最近の主流は「動画マニュアル」です。
スマートフォンで動画は簡単に録画出来ますし、画質も良いです。
治療でも、作業でも、掃除でも、何でも撮影すればマニュアルになります。
また、紙ではなく動画なので、文章にしにくいことも伝えることが出来ます。
さらに、新人が複数人入ってきた際に紙だと印刷や一人ずつ見てもらうなどの
問題がありますが、動画であれば帰りの電車の中でさえ研修することが出来ます。
例えば

  • スケーリング
  • SRP
  • フッ素塗布
  • エアフロー
  • 洗浄
  • 滅菌
  • ゴミ出し

などです。

動画マニュアル作成方法

  1. スマホで動画を撮影する
  2. youTubeチャンネルを作成する
  3. 撮影した動画をYouTubeチャンネル(限定公開)にアップロードする
  4. YouTubeチャンネルのURLを、スタッフ間で共有する

これで作成完了です。
URLを知る人しか見ることが出来ない上に、
無料で作成が出来ますし、字幕をつけることも可能です。
是非、お試しいただけると幸いです。

スタッフ全員が気持ちよく働けるための経営マニュアルについて

経営にマニュアルにはありません。歯科医院様によって違います。
立地や、通っている患者層、年収層、地域性などにより変わってくるためです。
また、インプラントを伸ばしていくのか、矯正なのかなど様々な要因があります。
そう考えるとどれだけ多くの他歯科医院様の状況を知っているのか、
事例を知っているのか、モデルとする歯科医院があるのか、
などが経営マニュアルと呼べるかもしれません。
船井総研では、そのため「歯科経営研究会~Funai Dental Innovation~(略称:FDI)」と呼ばれる経営を学ぶための研究会を開催しております。
歯科医院の業績アップを目的に、歯科医院経営の時流や専門情報、即実践ツールの紹介、
参加者同士の成功事例を共有する勉強会です。即時業績アップのための最新ビジネスモデルや事例紹介はもちろん、永続的な成功企業となっていくための仕組みづくりといった
情報をお届けします。
それだけではなく、全国レベルでの「師と友づくり」を実現させることができます。
経営者同士の刺激の場を提供したい全国にはすばらしい歯科医院経営者様が
多くいらっしゃいます。しかし、その経営者様同士が出会い、経営について語り合う場所が意外と少ないようです。
臨床的なことは技術勉強会等で話し合うことはあっても、経営については
なかなか話しづらいというのも業界の慣習としてあるようです。
経営者の皆様が情報交換をし、互いに刺激を受け合う場所として、当研究会をご活用下さい。お互いに意見交換をすることが貴院の成長をより確実にすることと考えています。
初回は、無料でご参加いただけます。
是非、お申し込みお待ちしております。
それ以外にも、個別で歯科医院様のご支援を行っております。
開業から、業績アップ、採用など多岐に渡ります。

人材不足を補うロボットやシステムの導入について

人材不足を救う一つの手法が「省人化」です。読んで字のごとく、人がいらない形を
作り上げることで、「AI」、「IT」、「ロボット」、「システム」などがあります。
最近、AI(Artificail Inteligence/人工知能)や、IT(Information Technology/情報技術)
などのニュースが多く見られるようになりました。これから我々の生活はより
便利になっていく期待感と、自分の職業が無くなる不安感が入り乱れた感情を抱きます。
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の研究によると、
今後10~20年で47%の仕事が機械に取って代わられると発表されておりますし、
野村総合研究所の研究によると、
2030年には日本の労働人口の約49%が技術的に人工知能で代替可能になるそうです。
実際に、数年後にはなくなる職業・仕事なども予測されています。
ちなみに、「歯科医師」は代替されにくい仕事19位にランクインされております。
歯科業界で、AIに取って代わられる可能性があるのは、以下です。

  • 受付(会計)
  • 予約
  • 患者誘導
  • 滅菌
  • 研磨
  • 印象
  • バキューム
  • 簡単なクリーニング
  • ホワイトニング
  • カルテ整理
  • 口腔内写真
  • TBI
  • Cチェック
  • P検査
  • 技工
  • 訪問診療(口腔管理など)

歯科業界でも、既にIT化は進んできており
今後も、大手企業が歯科医院向けに、AI機械を発売していくと予想されます。
既に、

  • 自動精算機
  • アポイントツール
  • カウンセリングロボット
  • ロボットによるインプラント手術

などがあります。
今後、単純作業はAIロボットに代替されていきます。
ロボットであれば、健康や賞与などは関係ありません。
経営者(理事長、院長)として行っていくべきことは、2つです。

  1. AIロボットやシステムなどの情報を収集し、活用していくこと
  2. 従業員が持つ人間固有の能力を育てる、または仕組みを作る(考える力やサービス)

このあたりを先んじて対応していけるか、
今後の経営が大きく変わっていきます。


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