【2020年改定解説】新設された歯周病重症化予防治療(P重防)は結局何点くらいになるの?を専門コンサルタントが解説!

2020年02月13日 (木)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

船井総研 歯科コンサルティングチーム 眞野でございます。

 

皆様が大注目している、2020年の保険制度改正について、情報(骨子)の公開(中央社会保険医療協議会 総会(第 448 回) 議事次第 令和2年1月29日)より、今回は「Ⅱ-4 重症化予防の取組の推進 -⑤歯周病重症化予防の推進」と歯周病治療の流れや考え方に大きく係わる部分について書かせていただきます。

 

まず、関連する項目として「④ 歯科疾患管理料の見直し」も注目点と言えます。これは、より本質的な算定を促すという意図が見受けられ、初診日(初診の月)の算定よりも継続的な長期管理を実施した場合に手厚くなるというものです。

従って、主訴だけではなく一口腔単位での計画と患者への説明および治療方針への合意形成がより求められるということです。裏返した表現でいうと、一口腔単位での治療計画を立てていない、もしくは求めない患者への算定は厳しく制限される、ということですね。

 

具体的な点数は、施設基準により変わりまして、下記の通りです。

 

か強診の認定を受けている医院:120点

その他の医院:100点

 

そして、初診時に関しては、その100分の80の点数となるということで、か強診の医院で96点他の医院で80点となる見込みです。※点数の決定は4月改定情報後なので、あくまで2020年2月上旬時点

 

歯科疾患管理料の見直しという流れは、治療計画のもと継続的な管理を促す意図だけではなく、日本における予防歯科の概念を大きく変える意図を感じます。

 

それは、今まで慣例・慣習ともいえるカタチで「定期健診」「リコール」といった呼称で施してきた処置と共に算定してきた「歯管」の点数を実質的に減少させることから見て取れます。

 

そこで、新設された項目の解釈が必要といえるわけです。

これが「⑤ 歯周病重症化予防の推進」であり、2016年4月改定時に新設された「SPT(Ⅰ)(Ⅱ)」と同じくらい大きな変化だと言えます。

いわゆる歯周病重症化予防治療(P重防)です。

 

端的にご説明すると「従来の保険リコールは、歯周病重症化予防治療(P重防)へと改める」ということです。

 

算定条件をみていくと、下記の2点に要約できます。

要ケア部分のポケットが4mm未満で、重症化を予防する目的で継続処置が必要と判断される

算定は月1回とし、間は2ヶ月を空ける

 

そして点数は残存歯数によって変わるようです。

1~9歯:150点

10~19歯:200点

20歯以上:300点

 

なお、これは処置料であり、SPTのように包括された内容だと推測されます。少なくともスケーリング機械的歯面清掃は含まれ、基本検査や精密検査や口腔内写真が含まれるのかは未だ不明です。

しかし、再診料・管理料・付加する処置料(CE等)を必要に応じて合わせて算定できることを想定すると下記くらいの算定になるのではないかと仮説立てられます。

 

残存歯数が1~9歯の患者に対する重症化予防治療として・・・700点

残存歯数が10~19歯の患者に対する重症化予防治療として・・・750点

残存歯数が20歯以上の患者に対する重症化予防治療として・・・850点

※2020年2月時点では、あくまで仮説です

 

 

従って、従来の「リコール」での管理料が減算となる実態を踏まえると明確な継続的な管理と言いますか重症化予防のための処置というのは、下記のように体系立てられるでしょう。

 

か強診認定無しの医院 ポケット4mm未満の患者に対して ⇒ 重症化予防治療(700~850点)

           ポケット4mm以上の患者に対して ⇒ SPTⅠ(750~900点)

か強診認定有りの医院 ポケット4mm未満の患者に対して ⇒ 重症化予防治療(700~850点)

           ポケット4mm以上の患者に対して ⇒ SPTⅡ(900~1,200点)

 

 

もう、お分かりの通り、予防自体は追い風となる傾向ですが、厳密かつ専門的に歯周病処置を施していきたいと考えると、か強診の認定を受けざるを得ない、となるでしょう。

 

そもそも、2016年4月改定より【か強診】は登場しましたが、全国的にもその認定施設数は約15~18%と言われ、年々増えているようですが、今一つ普及しきれていない状況です。

これは、訪問歯科への参入にハードルを感じている歯科医院経営者が多いことだけではなく、最新情報を収集しつつ中期的な戦略を持つ余裕がないことも一因なのではないかと想定しております。

 

そこで言えるのは、未だ年商規模が1億円未満の歯科医院は確実に1億規模へ成長させるために最低限の自費診療を推進し、法人化すること。

そして時流に合わせた「訪問歯科への着手」「歯周病治療への着手」を計画し医院の生産性を高め、DHを採用・定着させられ、適正利益を残していける体質改善を図っていくこと。それらが求められるでしょう。

 

 

船井総研からは、情報公開される都度、整理した情報と共に想定される医院戦略や事例セミナーの情報も提供し続けてまいりますので、是非チェックいただければと思います。

 

 

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◾️この記事を書いたコンサルタント

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

 

 

 

 

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