歯科医院開業で経営がうまくいくための抑えておくべき重要指標

2022年12月19日 (月)

コラムテーマ:
開業

歯科医院経営において、業績向上させ続けていくために押さえておくべき指標項目は多数あります。
ですが、新規開業をしたばかりの歯科医院においては、あまり多くの指標を追いかけすぎても“木を見て森を見ず”となってしまいますので、中でも最重要といえる指標項目について整理してまいります。

◆新規開業から1年間で最重要なのは『新患数』

これは多くの先生が認識を持っている指標だと思いますが、はたして何名の新患(純初診患者)を獲得できるといいのかお分かりでしょうか。

これは歯科医院を創って開業をした立地に深く関わってくる数値ではありますが、概算値での目安をあげるとすると、月々に100名となります。

この100名の新患というのが多いのか少ないのか、ピンとこないかもしれませんが、開業地の周辺人口動態を分析することでも目標の目安となることが分かるでしょう。

簡単に解説をいたしますと、まず立地を検討している段階からその地点を中心に同心円で1kmの人口動態を調べます。その時に約3万人だったとすると、まず足元診療圏はその3万人といえます。
そして、罹患率は1%前後と言われているので人口に照らし合わせると、年間の主訴持ち患者が1km圏内で300名前後と計算できます。
これにより、医院が積極的なマーケティングをしてもしなくても視認性が高く清潔感のある医院を創れてさえいれば、周辺の300名の内50~75%程度は獲得できると想定できます。ですが、これはあくまで1年間くらいで終息してしまう“新規OPENバブル”のようなものです。この1km圏内3万人というエリアで開業から12ヶ月での新患合計が200~300名となってしまう理由なのです。

では、もっと多くの新患を獲得できている歯科医院は、どうなっているのか。

それは、医院を中心とした同心円で約3km程度まで集患力を発揮するマーケティング施策を講じているからです。立地選定が良い場合、3km圏内の人口動態は15万人から30万人近い数値がでることがあります。このような立地でマーケティングを最適化していくと、その圏内の罹患率1%の1,500~3,000名の患者が対象となり、その内50%を獲得できたとすると開業12ヶ月の新患合計が750~1,500名以上となるわけです。

新規開業で来院される患者は、必ずしも主訴があるわけではなく「定期的に診てもらうかかりつけ医を変えよう」「ゆくゆく子供を診てもらう医院を探しておこう」といったニーズもありますので罹患率1%+αとなるわけです。
この+αといえるニーズの患者を獲得していくことを考えても、医院の認知度を広げるマーケティング施策が最適でないと3km圏内へのアプローチは不可能であり、その結果初月は100名を超える新患があっても2ヶ月目以降は30名前後の来院に停滞的な安定をしてしまうものなのです。

気になるマーケティング施策はというと、おそらく多くの先生が既に知っている下記になります。
・ホームページ製作およびSEO対策
・Googleマイビジネス対策(MEO)
・ポータルサイト活用
・医院外観の工夫
・看板設置

ですが、その精度が問題であり、ホームページであればどれだけアクセスを集められているかであったり予約までの流れを簡潔に整え離脱を減らせているか等です。MEO対策も情報の最新化に始まり口コミや写真掲載の数をベンチマークした競合医院に相対的に勝っているか等です。

◆新患獲得をへての「平均来院数」もさらにチェック

新患の重要性は理解してくださるものの、1日あたりの平均来院数という観点は持っていただけていない傾向があると思います。
新患獲得はやはり重要なのですが、そもそも何故新患が大切なのかは治療を増やして売上を上げていけるし、メンテナンスに移行して定期的なSPT患者を増やすことに繋がるからですね。
ですが前提としては、1日に何名の患者が来院して、それぞれの診療単価がいくらなのか。その掛け算が日々の売上になるわけですので、1日あたりの来院数を増やしていく意識を持ったアポイント充足に着目すべきですし、1回の来院あたりの診療単価(処置内容)にもしっかりと目を向けるべきなのです。
ポイントが細かくなりすぎないよう、まずは来院数を高めていく観点が重要となります。

目安としては、歯科医師が院長の1名だけという至って普通な場合で、1日あたりの来院が30名を超えていく意識を持っていただきたいところです。この30名というのは、診療の効率化ができていないと難しいでしょうし、適切なアポイント調整も必要な要素です。合わせて、歯科衛生士体制が十分でないと不可能でしょう。
集患マーケティングだけに捉われて、院内体制や先生ご自身の診療効率を最適化していなければ、達成できないでしょうから、院外への影響度と院内の流れの双方を整えなければいけません。

なお、この来院をこだわった考え方が大切な理由としては、ここを疎かにすることで新患数の向上にも悪影響が出てくるためです。アポイント効率が悪いのにも関わらず集患マーケティングを実行していても、すぐに診てもらえない医院だと分かると獲得したアクセスも多く離脱してしまいます。もし新患数ばかりがふえても既存患者の治療が進まずに治療中断や歯周治療の未徹底というオチになりかねませんので、注意が必要なのです。

◆多くの先生が理解しきれていないのが「レセプト単価」

3つ目に押さえ所としてお伝えしたいのが、レセプト単価に対する考え方です。

現在でも多くの院長(経営者)が思い込んでいる事として、レセプト単価を押さえなければならないという話です。

これには大きな誤解があって、そもそもは正しい算定をしていれば平均的な点数が大きく逸脱しないであろう前提からくる“目安”でしかないはずなのに、点数だけでみて〇%以上超えてしまったか否か、という話題があります。
しかも、その話を日ごろから聞いていたであろう若い先生がご自身で開業された際に、開業時からその点数だけを気にして、適切な算定をしていないという事態にも繋がっています。

良い意味で点数だけに捉われず、正しく検査し診断をする。患者の意向にそって治療を進めていき、機能回復を実現させる。歯周組織は安定的な状態にもっていき、維持管理していく。ということを徹底して行った、新規開業の先生方は実績として、初月と2ヶ月目はレセプト平均点が2,000点近くまでいきました。6ヶ月を経過して1,500点平均くらいにまでになり、12ヶ月を経過する前に1,300点平均くらいにまで推移して落ち着きました。その間、レセプト枚数自体は200枚・300枚はすぐに超え、だいたい700枚は超えるというのが開業2年目に進むくらいの目安となります。

断片的な情報でレセプト平均点を変な操作をすることも、おかしな話です。そして、診療報酬や療養担当規則にしっかりと則った処置と算定を行うための人員体制もとても重要になってきますので、それらを全て網羅した事業計画を立案して開業準備に臨みたいものですね。

【執筆者 眞野泰一】

【告知】1月8日、9日にパシフィコ横浜で行われる「横浜デンタルショー」に船井総研新規開業ユニットも出展いたします!
当日は新規開業・分院開業を検討の先生向けに開業地の”無料”シミュレーションを実施いたしますので、ぜひブースの足をお運び下さい!

◾️この記事を書いたコンサルタント

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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