か強診の施設基準の引き上げにみる”新”歯科医院経営の時流~かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(かきょうしん)~
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目次
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平成30年度診療報酬改定において、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)が大きく変更!申請の上げ直しとクリアすべき項目とは?
先日、平成30年度の診療報酬の全貌が明らかになりました。
今回の診療報酬改定に関してご質問頂くことが多い内容が、
「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診、かきょうしん)」は、今後どのように立ち位置を変えるのか?
ルールの改変があるのか?一度、申請が通ればこれからもそのままなのか?
また、SPT(Ⅱ)やCeなどの点数変更があるのか?
といった内容です。
結論から申し上げますと、「大きく変更」になります。
また、前回の改定から今までの間にか強診(かきょうしん)の申請を行い、
認定を受けた歯科医院も、改めて申請を上げ直す必要があります。
とは言え、これから上げる要点を2020年3月31日までに下記項目をクリアにしていれば、
これからも「か強診(かきょうしん)」として治療を行うことができます。
このブログをご覧いただいている皆様や弊社クライアントの皆様は、
きちんと正しい情報をとらえて、正しいノウハウを持って進めていくことができれば、
問題なくこのハードルが解消できます。
ぜひ早期にか強診の準備を行い、時流適応の真のかかりつけ歯科医になっていきましょう。
<か強診(かきょうしん)申請書類は下記よりダウンロード!専門サイトへアクセスされます!>
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shinsei/shido_kansa/sonota/documents/t-17-2-p_1.pdf
か強診の今後を徹底考察|YouTube動画
「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準」についての通達内容
1.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診、かきょうしん)の[施設基準]について
下記、厚生労働省より正式に通達させた、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準です。
(1) 過去1年間において、歯周病安定期治療(Ⅰ)若しくは(Ⅱ)及びフッ化物歯面塗布処置若しくエナメル 質初期う蝕管理加算の算定回数がそれぞれ30回以上(歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ) の合計)及び10回以上(フッ化物歯面塗布処置又はエナメル質初期う蝕管理加算の合計)であること。
また、クラウン・ブリッジ維持管理料 を算定する旨を地方厚生局長等に 届け出た保険医療機関であること。
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
①:すぐに歯周病安定期治療(1)か(2)を30回以上算定しましょう!
②:「フッ化物歯面塗布処置」か「エナメル質初期う蝕管理加算」を10回以上算定しましょう!
③:クラウンブリッジは厚生局に届出しましょう。
(2) 過去1年間に歯科訪問診療1又 は歯科訪問診療2の算定回数と連携する在宅療養支援歯科診療所に歯科訪問診療を依頼した算定回数 が併せて5回以上であること。
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
④:自院のレセプトを確認しましょう!その中で70歳以上で1年以上来院がない方をピックアップしましょう!
⑤:その方に電話をかけて、訪問歯科の提案を行いましょう。
⑥:5件以上実施しましょう!「5人」ではありません。あくまでも「5件」です!
⑦:それが難しい場合には、船井総研へご連絡ください。多くのクリニックが実施しているプランがあります。
(3) 過去1年間の診療情報提供料又 は診療情報連携共有料の算定回数 があわせて5回以上であること。
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
⑧:病院へ親知らずを紹介していると思いますので一般的なクリニックでは問題ないでしょう。
(4) 当該診療所に、高齢者の心身の特性、口腔機能の管理、緊急時対応及 び歯科疾患の継続管理等に関する 適切な研修を修了した歯科医師が 1名以上在籍していること。
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
⑨:歯科医師会の研修やWEBで「か強診 セミナー」で検索の上、セミナーに参加しましょう。
※(5)、(6)は削除
(7) 当該診療所において歯科訪問診療を行う患者に対し、迅速に歯科訪問 診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者又は家族に対して説明の上、文書により提供していること。
(8) (4)に掲げる歯科医師が、以下の 項目のうち、3つ以上に該当するこ と。
ア 過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績があること。
イ 地域ケア会議に年1回以上出席していること。
ウ 介護認定審査会の委員の「経験」を有すること。
エ 在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・介護保険施設等 で実施される多職種連携に係る 会議等に年1回以上出席してい ること。
オ 過去1年間に、栄養サポートチ ーム等連携加算の算定があるこ と。
カ 在宅医療・介護等に関する研修 を受講していること。
キ 過去1年間に、退院時共同指導料、退院前在宅療養指導管理料、 在宅患者連携指導料又は在宅患 者緊急時等カンファレンス料の算定があること。
ク 認知症対応力向上研修等、認知 症に関する研修を受講している こと。
ケ 自治体等が実施する事業に協力していること。
コ 学校の校医等に就任している こと。
サ 過去1年間に、歯科診療特別対応加算の算定があること。
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
⑩:狙い目は「カ」「ク」「ケ」「コ」です。
それ以外は訪問歯科などの取り組みを積極的に実施している方が優遇されており、時期によっては見込みが薄いかもしれません。
⑪:取得までの詳細なプロセスは「船井総研」へお問い合わせください。
[経過措置] 平成 30 年3月 31 日にかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出を行 っている歯科診療所については、平成 32 年3月 31 日までの間、上記の基準 を満たしているものとする。→元号が変わりましたので令和2年3月31日までとなります!
<か強診、かきょうしんコンサル解説>
⑫:可能な限り3月中旬までの各地の厚生局へ提出しましょう!
<か強診・かきょうしん申請書類は下記よりダウンロード!専門サイトへアクセスされます!>
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shinsei/shido_kansa/sonota/documents/t-17-2-p_1.pdf
2.今回の改定から見る今後の歯科医院経営戦略とこれから抑えて頂きたいポイント
今回の報酬改定では、予想通り歯科医院経営の大きな潮目を迎えることになりました。
今回の「歯科外来診療環境体制加算(外来環)」や「院内感染防止対策の推進」
のレギュレーション変更や要件定義からもみてとることができますが、
保険診療を行う歯科医院は3つのパターンに「区別」させることになります。
①一般の歯科診療所
②外来環や院内感染を推進する歯科診療所
③か強診の施設基準を保有している歯科診療所
今回の改定で見えてくるのは、
これまでは①の歯科医院を中心に考えられていた診療報酬や施設基準でしたが、
平成30年4月以降では②をメインとして考えられた設計になっています。
メインという表現の意図は、
その設備を保有していること、取り組みを行っていることを
「当たり前」であるいうことです。
なぜそのように言えるのかというと、
外来環、院内感染防止を推進する歯科診療所を施設基準を満たしていないと、
初診、再初診が減算になります。
【※歯科外来診療における院内感染防止対策の推進より抜粋】
歯科医院が取るべき戦略は? 診療報酬改定と在宅診療の推進について
外来環を取るべきか?様子を見るべきか?
院内感染設備を充実させるべきか?否か?
といった判断はナンセンスということになります。
ここから仮説になりますが、次々回の平成32年の診療報酬改定では、
基準点を②⇒③の歯科診療所へ変更していくことも考えられます。
というのも、今回の改定は前改定からあるように「在宅診療の推進」が
医科・歯科・薬局等を含めて行われています。
今回の「か強診」の施設基準には、多くの訪問歯科の要件が持ち込まれています。
これまで外来診療をメインとさせてきた先生方には、聞いたことのない内容が並んでいて、「どこで行けばいいのか?」「誰に聞けばいいのか?」と不安になるかもしれませんが、訪問歯科や在宅を推進している医院さんや我々のようなコンサルタントから見ると、ある程度解決の道筋は見えてきます。
「保険制度に乗っかると良いことないよ」
「保険は梯子を外すからね」
とよく耳にしますが、これは確かに前々回の改定まではこの流れがあったことも事実ですが、これからの国の財政や体質などを見ると、今回の診療報酬改定は本質をついていると感じています。
全体として医療費削減は待ったなしの状況化で、2025年までに可能な限り「病院での診療・看取り⇒自宅での診療・看取りへ」がキーワードであり、クリニックレベルにおける在宅診療を推進は外すことができません。
そのため、前回の改定からか強診という施設基準を設け、施設基準を満たした診療所に関しては、重症度予防への保険点数の優遇(SPTⅡ、Ceなどが代表)が行われました。
シンプルに言うと、保険内で予防歯科ができるようになり、更には収益性も高い分野になったと言えます。ここで様々なうま味を実感した方々も多いことでしょう。
そこに来て、今回、か強診の要件に訪問歯科・在宅診療の要件を盛り込むことで、不足する在宅診療のできる(本質的にはやりたいと思う)歯科医院・歯科医師を増やすことが目的です。
前回の平成28年改定の際には、訪問レセプトが1枚でもあれば施設基準を満たすことができましたので、知人やご家族などの身内で訪問歯科を必要とする方を見つけて診療(義歯調整)などを行うなどをして、暫定的に申請を出した医院も多いはずです。
今回の要件を見ても、そこまでドラスティックに訪問歯科・在宅診療へ家事を切る必要はそこまでないようにも見えますが、先に平成32年改定を考えると、今すぐにでも訪問歯科・在宅診療の準備を進めていくべきでしょう。
なぜなら、平成32年改定では③の歯科診療所が「当たり前」になる時代が来る可能性があるからです。
前回、今回の診療報酬改定で、大きな指針を出しました。
あとは皆様の歯科医院がどのように判断を行い、経営戦略を取るかによって、数年後に(早ければ2年後に)差がついていることが予想されます。
医療が国からすべての面において保護させる時代は終わりをつげ、切磋琢磨しながら、技術、設備、経営面を考える時代になったのかもしれません。
以上が、今回の診療報酬改定から感じた考察です。
皆様の明日からの経営にご参考になれば幸いです。
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◾️この記事を書いたコンサルタント
岡崎 晃平
山形県出身。船井総研に入社以来、メディカルチームに配属され歯科医院を中心に、皮膚科・耳鼻咽喉科などのプロジェクトに携わる。
現在は、新規開業から医院活性化まで、幅広い経験と知識で多くの院長先生方より支持を受けている。
日々、“どんな時代になっても持続可能な歯科医院を創る”というコンサルティングモットーのもと、全国各地の歯科医院を行脚する、メディカルチーム有望の若手である。
◾️監修コンサルタント
歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター
松谷 直樹
2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。
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