<速報>SPTが改定により、多くの歯科医院で減算か!?
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※本内容は1/28にアップした内容に追記をしております。
中医協(中央社会保険医療協議会)より2/9議事資料として、2022年度の診療報酬改定の一部方針が発表されました中にある【歯周病安定期治療(SPT)】に関する注目トピックスとしてお知らせいたします。
目次
SPT改定について
まず、1/26議事資料から読み取れたのは、下記のポイントでした。
・SPTはⅠとⅡの区分が無くなる(点数変更も含む)
・施設基準「か強診」の認定を受けている歯科医院向けに加算が新設させる
上記を踏まえ、2/9議事資料からはさらに下記の改定内容が公表されました。
・SPTⅡは削除され、SPTⅠが“SPT”となった(点数はSPTⅠのまま)
・か強診認定施設は、SPTに「か強診加算(120点)」を算定できる
・SPTⅠは3ヶ月に一度の算定が可能だが、か強診認定施設による算定はこの頻度の限りではない
変更内容だけを明記すると上記のようにとてもシンプルであり、一見すると単なるマイナス改定と思われた先生方も多いのではないかと想像します。
しかしながら、決してマイナス改定ではありませんので、正しく理解していただきたく詳細を解説いたします。
SPT改定について解説
まず、か強診の認定を受けている歯科医院におけるこれまで(2022年3月末迄)のメンテナンスの算定は、SPTⅡを取っていたはずです。
これは、残存歯数20歯以上の場合830点で、その処置内容はSCやSRPといった歯石やプラークを除去する処置と共にP基本検査や精密検査などの検査を包括的に扱えるものでした。ゆえに、当該医院にてその日にルートプレーニング処置だけではなく検査を実施してもしなくてもSPTⅡ算定をしていたというものですね。
これが改定後の2022年4月からはSPTを算定することとなり、残存歯数20歯以上で350点となります。処置内容の変化としては、従来のSPTⅠと同様に『検査は包括されない』という扱いなので、処置内容はSCやSRPといった歯石やプラークを除去する処置のみとなります。
SPT改定による診療点数の算定について
少々回りくどくなりましたが、要は検査が別(包括の外)となるので、実施すれば検査の点数をSPTとは別に算定するということです。従って、精密検査であれば400点をSPTの350点に加えて算定するということです。合わせて、か強診認定施設であれば、か強診加算として新設された120点も加えて算定できるというわけで、合計870点となり、SPTⅡとの差は+40点となります。
あえて補足いたしますが、精密検査を実施していなければSPT(350点)+か強診加算(120点)=470点となるわけです。
ここまでの点数差を整理すると、
メンテナンスとしてSPTⅡを算定していた際、検査(ここでは精密検査を指す)を実施していた場合
830点 → 870点 (+40点)
メンテナンスとしてSPTⅡを算定していた際、検査(ここでは精密検査を指す)を実施していなかった場合
830点 → 470点 (-360点)
となります。
「か強診」のメリット
1/26議事資料の発表時点では「か強診認定施設にとっては差別化要素が軽減されてしまうかもしれない」とも解釈ができましたが、決してそうではありません。か強診の認定があることで
①か強診加算120点が算定できる
②算定頻度は3ヶ月おきでなくてよい
というメリットがあり(残り)ますので、やはり歯科医院経営において施設基準“か強診”を持っていることは大きな優位性でしょう。
ではここで、2/9議事資料の内容から読み取れる算定シミュレーションをしてみたいと思います。
◆口腔内全体の治療・管理を行い、メンテナンスを継続する場合に検査を行う
再診:56点
歯科疾患管理料:100点
長期管理加算:120点
SPT:350点
か強診加算:120点
精密検査:400点
衛生実地指導料:80点
エナメル質初期う蝕管理加算:260点
合計1,486点
◆口腔内全体の治療・管理を行い、メンテナンスを継続する場合に検査は行わない
再診:56点
歯科疾患管理料:100点
長期管理加算:120点
SPT:350点
か強診加算:120点
衛生実地指導料:80点
エナメル質初期う蝕管理加算:260点
合計1,086点
全ての算定項目において、必ず処置を施す等条件を満たしていることは大前提とし、大きなポイントとなるのが精密検査の実施有無だということがご理解いただけたかと思います。
SPT改定によって差が出るポイント
ですが総括すると、上記は点数だけの差ではなく要するチェアタイムの差とも言えますので、これまでの検査の有無に関わらずSPTⅡとして同一の包括点数を取って(取れて)きたことが色んな意味で是正されることになります。
となると、多くの歯科医院にてメンテナンスとして施す処置内容が来院毎に変わると共に、点数(患者自己負担額)も変わるということに対する現場対応を議論しなければならないということです。
想定されるのは、検査の有無によってチェアタイムが変わることが45分か30分という違いであれば、アポイントの入れ方が患者毎だけではなく、同一患者でも来院毎に変わるということですし、内容によって支払い額が変わることをいかに理解・納得していただくのかということです。
2022年4月以降は、患者が支払額の違いに気づき「何がどう変わったのか?」「何故、どういう根拠で検査の頻度が決まっているのか?」と疑問を抱くであろうことは容易に想像できますので、根拠と説明内容といった応酬話法を準備しておくのが無難といえます。
最後に、変更点や対応方針だけでなく、どんな意図を持った改定なのかも重要なため考察しておきたいと思います。
SPT改定についての考察
おそらく、この【歯周病安定期治療(SPT)】の変更に関しては、精密検査の実施有無に関わらず患者へ頻度高く来院を促して過度とも言える処置を施している疑念の払しょく意図があるかもしれません。また、短時間で多くの患者を診ていると思われる医院と長時間かけて診ていると思われる医院のSPTⅡの算定数に大きな開きがあったことに対する適正化の意図もあるのかもしれません。
いずれにしても、検査の実施頻度を適正にとらえたうえで現実的なチェアタイムを使うことがより重要となりますし、メンテナンス頻度を検査結果という根拠をもとに最適にするという原則を順守する考え方という理解を浸透させていくのが本質的な対処・対応なのではないかと考えております。
まだ正式に決定事項が公開されたわけではありませんので、施行される最終情報をもって歯科医院経営および現場での処置・算定対応をしていきたいところですね。
【執筆者:眞野泰一】
ここから下記記載文は1/28投稿文です。
船井総研 歯科コンサルティングチーム 眞野でございます。
中医協(中央社会保険医療協議会)より1/26議事資料として、2022年度の診療報酬改定の一部方針が発表されました中に【歯周病安定期治療(SPT)】に関する改定内容もございましたので注目トピックスとしてお知らせいたします。
SPT改定について
読み取れるのは、下記のポイントです。
①SPTは1と2の区分が無くなる(点数変更も含む)
②施設基準「か強診」の認定を受けている歯科医院向けに加算が新設させる
変更(削除・新設)の内容だけを明記すると上記のようにとてもシンプルではありますが、色々と意味合いを含んでいると言えますので整理してまいります。
まず、①SPTはⅠとⅡの区分が無くなる(点数変更も含む) という点ですが、これまで“か強診”の認定施設か否かで患者さまへ提供できる予防メンテナンスレベルが変わってきてしまっていたことが是正されると言えます。“か強診”の認定施設にとっては差別化要素が軽減されてしまい、その他の歯科医院にとってはかなりの朗報でしょう。
これはとても重大なことであり、“か強診”の認定を受けていない歯科医院の先生方は認知度が低いかもしれませんので、改めて記します。
SPT改定に伴う「か強診」の重要性について
これまで、船井総研としては“か強診”の認定を取得することを強く推奨してまいりました。
日本国内の歯科医院は約7万件あり全国的な当該施設基準の認定率は20%前後のはずですが、船井総研にてサポートし業績を伸ばし続けている歯科医院では約70%の認定率という実態があります。
業績向上に大きく関連しているからこそ推奨してまいりましたが、その要素の1つに予防メンテナンスとしてSPTⅡが算定できたことがあります。
SPTⅠとの違いは『毎月算定ができる』ことであり、1ヶ月から2ヶ月程度の頻度でメンテナンス処置をせねば安定期を維持し守っていけない患者さまをフォローできるということです。
改定内容に話題を戻しますが、このSPTⅠとⅡの差がなくなり統合的な項目になると“か強診”の認定を受けていない歯科医院が上記のように患者さまの状態に合わせた予防メンテナンス処理を提案・実施できるということになるので、その歯科医院(院長)の方針次第となりますし、積極的な提案により、確実に予防メンテナンス患者さまを増やすことができますし、そのハードルは全く高くないでしょう。
次に、②施設基準「か強診」の認定を受けている歯科医院向けに加算が新設させる という点についてです。
これは最終的な点数が公表されないことには何も言えません。しかし、予測としては『新たなSPTの点数に加算を加えた点数は、これまでのSPTⅡの点数よりも下がる』のではないかと考えております。
あえての理由としては、①の変更点によりSPTの算定数が圧倒的に増えることが予期され、その増大する医療費をみすみす歯科の医療費増加としないのではないか、と想像できるからです。
もし予測通りに実質的な減算となった場合、対処としてはSPTを算定して施す予防メンテナンスのチェアタイムを再考しなければならないでしょう。
一部の効率的な歯科医院では既に30分のアポイントで予防メンテナンスを回せていると思いますが、多くの歯科医院は45分から60分のアポイント設定で留まってしまっていると認識しております。
要するに、チェア1台で1日に診ることのできる予防メンテナンス人数を増やす方向に舵を切らねばならないのではないか、と現状からは想定できるのです。
具体的な点数が判明しましたら、続報や本内容の補足を発信してまいりたいと思いますので、引き続きメディア情報だけではなく船井総研ブログもチェックください!!
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◾️この記事を書いたコンサルタント
眞野 泰一
◾️監修コンサルタント
歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター
松谷 直樹
2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。
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