<速報>CADCAMインレーの保険適応決定から考えるこれからの補綴事情

2022年01月28日 (金)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

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【診療報酬改定を解説】2022年の診療報酬改定のポイントを徹底解説!

中医協(中央社会保険医療協議会)の分科会より、1/18に議論された内容として、2022年度の診療報酬改定での対応を優先的におこなうものとし、175件が採択された中に【CADCAMインレー】が含まれました。
その後、2/9議事にて正式採用がなされたことが公表され、3/4公開情報では、その適用条件がございましたので整理しながら4月以降の補綴事情を考察してまいります。

CADCAMインレーに関しては、前段の話題がない中で突如として「検討優先度 高」と出て、あっという間に保険適用が決定いたしましたので、詳しく知らぬままいらっしゃる先生も多いのではないでしょうか。

ではこのCADCAMインレーに関する情報を整理いたしますと、
・点数は750点
・小臼歯(4番、5番)が該当
・上下顎7番が残存しているうえでの大臼歯(6番)が該当
と出ておりCADCAM冠と同じ条件といえます。

また、作業模型ありきの間接法での製作に限るということもCADCAM冠と同様といえますので、昨今進化が著しく精度もかなり向上している光学印象装置を用いての模型レスでの製作は認められずというものでした。

そして「特定保険医療材料料は別に算定する」という文言がCADCAM冠と同様に記載ありますので、ブロック代に相当する点数の算定が可能なのではないかと推察しておりますし、印象やセットに伴う点数も従来通りに算定する流れになるでしょう。

該当する条件などはいずれも想定の範囲内であり、現場レベルでは淡々を活用していることとなると思いますが、歯科医院を経営する先生方にとっては『CADCAMインレーは経営状態にどんな影響を及ぼすのか』という観点が一番の関心事のはずです。

4月からの診療報酬改定に合わせたマーケティングはこれから実行していく段階なので、あくまで考察ではありますが、そこまでネガティブなことばかりではないと考えているので効果とマイナス影響を適切に見極めつつ時流適応していくべきかと思います。

まずはプラスの効果が見込めることとして、金銀パラジウム合金の使用量を減らせることで残る利益が増すのではないかということです。あくまで限定的な見解ではありますが、少なくとも保険の歯冠修復治療に伴う補綴物という範疇で考えると材料代が大きく減少し、少し上がる技工代は点数増加で相殺されるくらいの計算ができるかと思います。
金銀パラジウム合金の購入価格は、2022年にはいってから12,000~14,000円/グラムで推移しているはずですし、世界情勢の不安定さからパラジウムの輸出量が減るのではないかと容易に想像できるわけです。

次にマイナス影響が否めないと想定しているのが自費インレーの減少です。実態としては減少する歯科医院と横ばいと増減しない歯科医院とで二極化するであろうと考えておりますが、その理由はCADCAMインレーとセラミックインレーの差を明確に伝えきれないことと言えます。
「割れやすいか否か」「適合性が良いかいなか」「セメント性質の差」などの観点から明確に比較ができている歯科医院はその影響が最小限となるでしょう。
この点は、マーケティング力に差が出るポイントではありますが、その本質はそれぞれの歯科医院での臨床的な意味でのスタンスですので、何を言えばよいかといったアドバイスはしにくいところでございます。

いずれにしても、治療に際して患者に「白い詰め物を保険で入れることができる」とだけ伝わっているようではいけないということです。ですが、割り切ったとしても行うべきは予防メンテナンスへの誘導を強化していくことだと言えます。

CADCAMインレーの特性として、以下のようなことが考えられるのであれば、なおさらです。
・レジン系材料であるCADCAM素材はセメント接着相性が良いのでインレーにしても脱離の心配はないかも
・パラインレーに比べてセメント量が増えるとすると、セット後のセメントアウトが重要となるかも
・パラインレーに比べてセメント量が増えるとすると、二次カリエスリスクが上がるかもしれない

(別ブログ記事でも書いていますが)この度の診療報酬改定にてSPTの内容が変わりました。この点も踏まえて総合的に捉えると、インレーは保健診療を選択されたとしても、なおさらと強調するカタチで予防メンテナンスを訴求し誘導することで結果的に収益性を高めていくことが可能だと思います。

そして、戦略的な展開としては【自費の根管治療】や【自費のダイレクトボンディング】に取り組んでいき、自費の品質訴求や治療の早い段階からの自費化を実行していきたいところです。

船井総研では、かなり古くから自費クラウンやインレーの価格を下げていくことを提案し続けてきました。この4~5年は6~8万円で設定する歯科医院が半数以上となり、業界全体へ影響を与えたと感じております。その結果、治療する患者が自費を選択する割合がひと昔前より格段に増加していますので、自費=贅沢な選択肢 という風潮は無くなったのではないでしょうか。

だからこそ、先生方にはより自信をもって良さを伝えきってもらいたいと思いますし、競合他院を意識しすぎずに自院の中でコンセプトを明確化させていくことを注力していく2022年にしていってほしいと考えております。

【執筆者:眞野泰一】

船井総研 歯科コンサルティングチーム 眞野でございます。

中医協(中央社会保険医療協議会)の分科会より、1/18に議論された内容として、2022年度の診療報酬改定での対応を優先的におこなうものとし、175件が採択された中に【CADCAMインレー】が含まれたとのことです。

これはあくまで“優先度の高い項目として認識された”だけであり、いざ実際に保険診療に含まれてくるのかは、追って決まってくるものではあります。

では、もし【CADCAMインレー】が保険診療で扱うことができるようになったとすると、診療現場ではどのような変化があるのか考察していきます。

歯科医院を経営される先生方としては、兎にも角にも『CADCAMインレーは経営状態にどんな影響を及ぼすのか』という観点での結論を求めていると思います。

現時点で推察できることとすると、2つの観点から活用していくことにメリットを見出せるのではないかということです。

1つ目は、シンプルに収益性です。
対比するものとしては金銀パラジウム合金であり、当該金属の仕入れ金額は右肩上がりの高騰をしていましたので、これと比較するとより利益を出せるのではないかと想像します。
※点数は未定だが、CADCAMクラウンの点数が高めであった過去からの推察

2つ目は、予防メンテナンス強化に寄与するということです。
「保険診療のインレーでも白いものを入れることで患者さまのデンタルIQが高まるため」といった非論理的なことを言いたいわけではありませんのでご安心ください。
CADCAMインレーの特性について、数名の歯科技工士や歯科医師の見解を聞いた時に出たトピックスなのですが、下記のようなことが考えられるかもしれないとのことでした。

・レジン系材料であるCADCAM素材はセメント接着相性が良いのでインレーにしても脱離の心配はないかも
・パラインレーに比べてセメント量が増えるとすると、セット後のセメントアウトが重要となるかも
・パラインレーに比べてセメント量が増えるとすると、二次カリエスリスクが上がるかもしれない

もし本当に二次カリエスへの配慮・対策をよりしっかりとしなければならないとすると、リスクと解釈するのではなく予防メンテナンスを訴求しやすくなると解釈するのがよいと言えます。

CR充填では賄えきれない範囲のカリエスであった前提にて、
患者さまに保険診療でも金属と樹脂素材のインレーが選択できることを説明すれば、多くの場合がCADCAMインレーを選ぶと考えられます。
その際、可能性として二次カリエスリスクの増大要素が考えられる旨を伝えたとしても、その対処としてメンテナンスを治療した当院で継続することを理解してもらえたとすると安心してもらえるはずです。

上記にて記載した内容は、インレーを削り出す過程での破折などは起きない想定で、問題なくセットできる・できたことを前提とした考察です。そして、その詳細が不明である以上、オールセラミックスやジルコニアのインレーとの比較要素は考えにくく、自費診療への影響と対策は書ききれませんでした。

改定で実際に保険診療に含まれた時の材料などを加味して改めて情報発信していきたいと考えておりますので、引き続きメディア情報だけではなく船井総研ブログもチェックください!!

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◾️この記事を書いたコンサルタント

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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