口腔機能発達不全症と口腔機能低下症に見る予防型歯科医院へのシフトの必要性

2018年09月13日 (木)

コラムテーマ:
口腔機能不全と予防歯科の必要性

皆様こんにちは。
船井総合研究所の長谷川です。
いつもブログをご覧頂き、誠にありがとうございます。
今回は2018年度診療報酬改定において定義づけされた
「口腔機能発達不全症」と「口腔機能低下症」について書きたいと思います。
 
2018年度の診療報酬改定により、小児口腔機能管理加算と口腔機能管理加算が新設されました。
歯科業界・国の見解の中でも、小児の口腔機能と、高齢者の口腔機能は特に注目されています。
診療報酬改定概要の中に、小児の口腔機能の相談状況や高齢者の口腔機能の相談状況が記載されております。
 
小児歯科での相談割合では、咀嚼に関する相談が67.4%、噛み合わせに関する相談においては99.2%となっています。
高齢者の口腔状況の相談割合では、咀嚼がうまくいかないという相談が37.3%、口の渇きが25.1%、食事中にむせるが25.9%、半年前に比べて固いものが食べにくくなったが32.2%となっています。
以上の相談状況から読み取るに、小児と高齢者双方で口腔機能の重症化への不安と、重症化が迫ってきている方が多いことがお分かりになるかと思います。
 
このような背景を受けて、国としても治療から予防へのシフト、特に小児と高齢者への口腔機能の改善や、機能不全予防をより促進するために、小児口腔機能管理加算や口腔機能管理加算の新設に至ったのだと考えられます。
 
では、口腔機能発達不全症・口腔機能低下症の病状は具体的にはどのような状態をいい、
小児口腔機能管理加算・口腔機能管理加算の算定対象者、算定要件はどのようなものなのでしょう。
 
口腔機能発達不全症は、咀嚼や嚥下がうまくできない、構音の異常、口呼吸などが認められる病状です。
診断基準としては、15歳未満で、「咀嚼機能・嚥下機能・食行動・構音機能・栄養(体格)・その他」の項目の中で咀嚼機能を含む3項目以上に異常が見られた場合、口腔機能発達不全症と診断され、小児口腔機能管理加算の対象となります。
小児口腔機能管理加算の算定要件を満たすためには、
①口腔機能の管理計画を策定し、対象患者に文書により当計画を提供、そして医院で写しを保管すること
②口腔外・口腔内カラー写真の撮影を行うこと
※初回算定時には必ず撮影を実施し、その後は小児口腔機能管理加算を3回算定するにあたり1回以上行うこと
③指導・管理内容を診療録に記載すること
以上3点を満たすことで、小児口腔機能管理加算として100点加算されます。
 
口腔機能低下症は、口腔内の微生物の増加,口腔乾燥,咬合力の低下,舌や口唇の運動機能の低下,舌の筋力低下,咀嚼や嚥下機能の低下など複数の口腔機能が低下している病状です。
診断基準としては、65歳以上で、「口腔衛生状態不良・口腔乾燥・咬合力低下・舌口唇運動機能低下・低舌圧・咀嚼機能低下・嚥下機能低下」の項目の中で、咀嚼機能低下・咬合力低下・低舌圧のいずれかを含む3項目以上に異常が見られた場合、口腔機能低下症と診断され、口腔機能管理加算の対象となります。
口腔機能管理加算の算定要件を満たすためには、
①口腔機能の管理計画を策定し、対象患者に文書により当計画を提供、そして医院で写しを保管すること
②指導・管理内容を診療録に記載すること
以上2点を満たすことで、口腔機能管理加算として100点加算されます。
 
今後「口腔機能発達不全症」のお子様や、「口腔機能低下症」の高齢者の方が増えてくるでしょう。
口腔機能が重症化する前の患者様が増えてくると言い換えられます。
なぜなら今、小児予防矯正や訪問歯科による口腔ケアへのニーズが増しているからです。
子供の歯並びや悪癖が重症化する前に癖の改善や歯列矯正をはじめよう、親の食生活や豊かな生活を長続きさせるために口腔機能の維持や改善をはかろう、といった予防への意識が強くなっている方が増えているので、必然口腔機能不全が重症化する前の「口腔機能発達不全症」のお子様や「口腔機能低下症」の高齢者の方が増えてきます。
そのような予防に重きを置いた患者様が今後増えてくる時流の中で、予防を中心とした診療体制の構築はまったなしの状況です。
 
皆様に置かれましては、自医院の診療圏の人口動態を再度把握し、
地域の人口状況に合わせた予防歯科へのシフトに取り組まれることをおススメ致します。
そして、地域における予防歯科としてのブランド力を高め、今後増えてくる「口腔機能発達不全症」「口腔機能低下症」の可能性のある患者様が、まず最初に診療に訪れる歯科医院となることを目指して頂ければと思います。
 
日々の診療の中でお忙しい中と思いますが、歯科業界の時流を改めて見つめて頂き、今後の医院経営の方向性を定めて頂ければと思います。
 
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
 
【執筆者:長谷川 光太郎】

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