なぜ歯科衛生士が定着しない!?ミスマッチをどうすれば防ぐことができるのか。

皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所の坂下です。

新卒歯科衛生士の就職活動もスタートしはじめ、医院見学や面接をスタートした医院様もあるかと存じますが、今回は昨今歯科医院にとって恒常的な悩みにもなっている歯科衛生士の定着についてお話させていただきます。

今回は、採用のための手法論ではなく、ミスマッチを防ぐための医院側の対応についてお伝えさせていただきますので、新卒・中途関係なく参考にできるものかと思います。同様に、昨今問題となっている歯科助手のミスマッチにも対応可能です。

スタッフが定着しやすい組織とそうでない組織は何が違うのか?

そもそも歯科衛生士の採用ができない!
採用はできているけど、選べるほど来ない!

そういった場合は、以前ブログにも記載させていただきました
『「採用コスト高騰時代」を生き抜くための組織デザイン』をご確認ください。

そもそも、このような採用のミスマッチへの対策がなぜ必要なのか。
実際に求人活動をされている医院様の多くの方が感じておられると思いますが、
以下のようなケースが近年顕著に散見されるかと思います。

■入社したのに1ヵ月以内に退職した。
■1年以上経っても、まったく成長が感じられない。
■新卒を採用したのに、内定辞退をされた。
■昔と比べて新人スタッフのレベルが下がったと感じる。

このようなお声をよく伺いますし、実際に現場でも私自身このように感じることも多くなってきました。

では、歯科衛生士が定着しやすい組織とそうでない組織の何が違うのか。

答えは以下の3つです。

1. 労働条件が適切か
2. 自身の将来像が描けるか
3. 業務の標準化ができているか

1と2については、以前のブログに記載しているものですが、1つだけこちらで言及させていただくとすると、「募集要項と実務のギャップをなくすこと」は意識したほうが良い点です。こちらは退職理由として多くあげられる部分で、ごくごく当たり前のことですが、労働時間や給与、有給の消化など募集要項へ記載している部分との違いをなくすこと、ブレがある場合は面接時に説明することが重要です。詳細については、過去のブログを確認していただけると幸いです。

さて、今回は3についてフォーカスを当てて解説させていただきます。

定着の秘訣は“ギャップの認識”である。

ここ数年、私自身が強く感じるのは、医院の業績としては順調に成長しており、既存スタッフも優秀だけど、なぜか新人が続かない。特に急成長を遂げた開業5年目以降の医院で多く見られます。

この理由は至極単純で“成長期を経験したスタッフ”と“未経験の新人スタッフ”のギャップです。

医院が成長していく中で、新たな取り組みによる負担増を自ら経験しているスタッフは、その中で自身も成長しており、それが“当たり前”になっています。予防業務に関していえば、元々メンテナンスのアポイント時間が60分だったものを、スタッフの努力により30分することや、リコール患者数が数年で倍増した場合など、既存スタッフは自身の成長と合わせて数値も変化していますが、新人はいきなりハイレベルな状況に放り出されます。
また、歯科衛生士の業務範囲も年々拡大され、歯周病関連業務だけでなく、ホワイトニングやインビザラインなどの審美領域、オーラルフレイルや口腔機能発達不全など関連するMFTなどの口腔機能管理、訪問診療、緊急対応への対応など、益々拡大されています。

これらを成長とともに習得したスタッフの“当たり前”を、新人スタッフは享受できず、退職に至ってしまうケースが増加しているように感じます。

まずは、上記の格差をスタッフも含めて認識することが重要です。
その上で、業務の可視化(マニュアル化)とあわせて、成長スケジュールを作り、どの段階までクリアすれば、次のステップに進められるのかを本人の進捗状況にあわせて設計することが重要になります。

そして、それを本人と教育担当者と院長の3者で対話を持ちながら進めることが肝要です。

特に医院の規模の拡大を想定しておらず、従業員の増員をし続けられない医院様にとっては、スタッフ1人1人の能力によって医院経営が左右されます。組織の入れ替わりを視野に入れ、教育制度を整えて、新人が定着し成長できる仕組みを作ることや次世代を育てるための取り組みを考える必要があります。

これらのギャップの認識をしたうえで、業務の標準化を進め、面接時に教育に関する説明や将来像について説明することと、入社後にもコミュニケーションをとりながらキャリアについて話し合うことがミスマッチを防ぐことになります。

「最近、新人の質が悪くなった。」
「採用してもすぐにやめてしまう。」

私も、同様に感じる部分もあるのですが、これを嘆いていても解決しません。
まずは“医院の成長による新人とのギャップの大きさ”を認識していただき、業務の標準化と教育の仕組化を進めてみてはいかがでしょうか。

以上、最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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