【勤務医が開業!?】歯科医師の売上目標を高め定着させる、ロジカルマネジメント【船井総研】
皆様、こんにちは。株式会社船井総合研究所 眞野泰一(まのたいち)でございます。
いつもメルマガやブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は【勤務医の生産性の高め方】について書かせていただきます。
年商規模が 1.0 億円~1.2 億円ほどに医院を成長させることができた先生方が次なる目線として取り組むのが勤務医(代診)の採用だと思います。
どんな歯科医師像を採用ターゲットにして施策を講じるかはまた別の機会に詳しくお伝えいたしますが、狙い通りに勤務医を獲得できた後に考えていくであろうこと、それはその勤務医がどのくらい売上をあげてくれるかというポイントでしょう。
もちろん、既に自院にいる勤務医にもう少し頑張ってもらいたいなと考えている先生方も含めて、その押さえ所としてご覧ください。
勤務医の売上目安と到達するか否かの分岐点になること
まず、勤務医として雇用する歯科医師に対する給与相場ですが、これは歯科衛生士と同じように上昇している実態があり、10 年前や医院経営をしている先生方が勤務医時代と比較すると 1.5倍~2.5倍くらいに感じるかもしれません。この背景には世の中の物価上昇もさることながら、多くの歯科医院が勤務医を求めているという需要と供給のバランスと紹介会社のサービス拡充という要素要因があります。良し悪しを論じる余地はなく、これらを踏まえて“いかに自院で獲得できるか”という点において時流適応していかねばならないのです。
そして、そんな勤務医の給与に対して求めたい売上となると、約 4 倍が基準となります。比較的若手の歯科医師の給与が 60 万円~90 万円とすると、約240万円~360万円となるわけです。既に勤務医を雇用している先生方はこの目安に達しているかを直近 3 ヶ月の平均売上等でチェックしてみるとよいでしょう。
では次に、目安の売上に達しているかどうかの分岐点となるポイントについてです。
達していなかったとした場合、その勤務医が診ているボリュームが足りていないわけですが、理由は下記 2 点にあると思います。
・新患不足でその勤務医にまで担当患者を回してあげられていない
・患者を担当してもらおうにも、診療スピードが遅くて今以上には回してあげられない
1 点目は医院としての集患マーケティング不足としか言えませんので、勤務医に対する施策を講じるよりも新患増加のための施策を講じていくことを考えていただきたいと思います。
2点目こそ勤務医に対するアプローチが重要で、色々な意味を含めた成長を促さなければいけない場面のはずです。そこで成長させるべきポイントを臨床面だけと決めつけず、メンタルや考え方(マインド)といった観点も持つことこそ重要です。これこそ、先生方が経営者として自院の生産性をさらに高めることができるかの分岐点になるのです。
◆勤務医に対しての適切なマインドセットと環境整備とは
先述の通り、先生方が勤務医に対して臨床的な部分の成長を促すは必須であり、勤務医の方々もご自身で臨床家として一生勉強すべき、ということは理解しているでしょう。では、成長意欲はあると仮定した時、売上という観点で成果を残すか残せないかという差がメンタリティーやマインドなのです。
そこで推奨するアプローチの方向性としては『自分で開業してもやっていけるだけの診断力と治療技術を持とう』というものです。
医院を経営する先生方の中には「独立開業されるより、長く当院で勤務してほしいから言えない」と思う方も多いでしょう。
しかしながら、そういったアプローチしようがしまいが独立開業や実家のクリニックを継ぐことを念頭に考えている勤務医が多いの実態です。逆に、開業意欲がないのにも関わらず売上を目安相場以上に残して献身的に貢献している勤務医がいるという事例はとても稀であり、特別な事情ありきなパターンだけだと言えます。また、先生方自身が開業前に考えていた思考が勤務医にはないと思ったり、望んだりすることの方が問題があるのです。
だからこそ、目線を高く持たせて勤務医自身の世界観を広げてあげるような気持ちで、向上心や挑戦心を高めるようなアプローチにより歯科医師としてレベルアップさせることこそが売上を高めることに繋がる一番効率的な動機付けとなります。ですが、一度話をしたところで瞬間的に変わるわけではないので、定期的に継続的に面談や診療へのフィードバックを介してモチベートしていくイメージを持っていくのです。
次にそんなモチベートをしてメンタリティーやマインドを高めた時に必要となる環境整備についてです。これは“診療の量に天井を設けない”ことが重要であり、使用するチェアを制限したり診療アシスト不足といった状況にしないことを意味します。従って、最低でもチェア2台を自由に使わせるべきですし、診療アシストとして歯科衛生士をチェア台数と同じだけ従わせてあげるくらいの体制を許可するくらいが必要でしょう。もちろん段階的なものになるので、研修医明けの勤務医に数ヶ月で許す体制ではありません。しかし、給与の歩合制をもちかけるくらいの技量になっていたとしたら、上記くらいの環境と足りる患者数をあてがうべきです。
もし仮に、自院の勤務医に対して上記くらいの環境を提供できていない先生がいたら改善していくべきですし、人件費などのコスト意識から躊躇されるようでしたら、このように考えてみてください。
それは、勤務医に対して 60 万円~90 万円支払って歯科助手 1 名(約 24 万円)を従わせて月の売上が 200 万円程度しか売上をあげることができていない場合は売上に対するコストは 50%前後にもなります。ですが、チェア2台と歯科衛生士 2 名(約 60 万円)を従わせて 400 万円をも売上をあげてくれたとしたら売上に対するコストは 35%前後くらいに低下させることができます。この体制と十分な患者という環境があれば自費診療も相まって500万円以上の売上をあげてくれるようにもなる可能性がありますが、前者のような環境ですと自費診療を伸ばしていくことは期待できないでしょう。
◆安易に独立開業をさせないためのポイントとは
勤務医に対する上手なアプローチをし、目論見通り売上が高まってきたとたん独立開業を決意されるのは、経営者としてはネガティブに感じてしまうことは理解いたします。
そこで、勤務医の成長の終盤として大切なのが『経営者目線を養わせる』ことです。ある意味、勤務医が自身の実力を過信して開業するのは、この経営者目線を養えず決意したからであり、適切に持ち合わせていれば安易な開業には踏み出しません。
もちろん、初めから決めていた進路として開業をするようであれば、それはどうアプローチをしても決して止めたり延伸させたりは出来なかったことですので諦めるべきです。先生方の医院で成長できないと見切りをつけたのであれば他院へ転職していたものと捉えるべきなのです。
なぜ『経営者目線を持たせる』ということなのかというと、開業するにあたっての立地選定や診療を続けて拡大していくにあたっての従業員マネジメントがどれだけ容易でないかを理解したうえで、本当に独立開業をするのかを考えさせるためです。それでも医院を責任もって運営したいという高い意識があるようであれば、独立開業ではなく先生方の法人下で分院の責任者として診療をする方向性も提案してあげることができるのではないでしょうか。それは、勤務医自身にも決して悪い話ではなく、個人で多額の借入をせずに、法人にある仕組みを活用して自身の診療実現と報酬面の上昇を狙えるのです。勤務医としても、独立開業して得られる収入の現実的な数字と分院責任者として得られる収入に大きな差がなければリスク面と天秤にかけて賢明な判断をするのではないかと思います。
さいごに
上記が勤務医に対するマネジメントと総括とも言えるのですが、現代の多くの先生方が悩んでいるポイントであることを多々あるご相談から把握しているところです。
我々、船井総研としても開業思考のある先生から相談をお受けしても、状況や想いによっては独立開業をお薦めしない場合もあります。ここ数年は 5 名に 1 名の割合くらいで勤務医でいることを推奨するようなお話もしている実態があります。
もし、先生方が面倒をみている勤務医に対して、向上心を持たせるアプローチの一環で下記を薦めてみてはいかがでしょうか。
また、勤務医マネジメントでのご相談も随時お問合せいただければと思います。
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