次回の歯科診療報酬改定に向けて今からすべき準備は?

2026年03月04日 (水)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

2026年の歯科 診療報酬改定に向けた準備の核心は「ヒトへの投資とデジタル化による構造改革」にあります。

  • ①経営基盤の強化(賃上げ・物価対応)
  • ②院内診療の進化(歯周病管理・DX)
  • ③地域・連携の拡大(訪問・医科連携)

戦略的に連動させることで、持続可能な歯科医院経営を最大化できます。まずはベースアップ評価料の届出と賃上げ計画の策定から着手することが成功への近道となります。

1. 導入:次回の改定を見据えた現状と重要性

2026年の歯科診療報酬改定は単なる点数の増減ではなく、「人への投資(賃上げ)」、「デジタル化による効率化」、そして「地域完結型医療への移行」を促す構造的な変革へとシフトしています。 現在、歯科医療現場では物価高騰や人材不足が深刻化しており、スタッフの処遇改善や業務効率化が急務です。今からこれらの体制を整備しなければ、次回の改定時には加算の算定漏れだけでなく、人材流出による経営危機に直面するリスクがあります。これらを解決することで、安定した経営基盤と質の高い医療提供体制という長期的メリットが得られます。

2. 柱となる戦略要素

戦略①:経営基盤・体制(賃上げと人材確保)

具体的なアクション内容

「ベースアップ評価料(I)(II)」を活用し、歯科衛生士や歯科技工士を含む全職員の賃上げ計画を策定・実行します。また、外部委託している歯科技工所に対しても、「歯科技工所ベースアップ支援料」の趣旨を踏まえ、委託契約を見直して適正な価格転嫁を行います。

期待される効果と論理的背景

賃上げ実施医療機関とそれ以外で評価が明確に区分されています。早期に対応することで、優秀な人材の確保・定着(リテンション)を図り、チーム医療の質を維持できます。

現場レベルの工夫

賃上げ計画はスタッフに明示し、モチベーション向上に繋げます。届出要件の確認を確実に行うことが必須です。

戦略②:院内診療の進化(重症化予防とDX)

具体的なアクション内容

歯周病治療において、「SPT(歯周病安定期治療)」と「P重防(重症化予防治療)」が「歯周病継続支援治療」に統合されたことを踏まえ、カルテ記載や患者説明のフローを更新します。また、光学印象(口腔内スキャナー)の活用やCAD/CAMインレー、大臼歯への適用拡大など、DXを積極的に導入します。

ターゲットや状況に応じた使い分けのコツ

ライフステージに応じ、小児(口腔機能発達不全症)から高齢者(口腔機能低下症)まで切れ目のない口腔機能管理を実施します。画像活用指導料の見直しに伴い、撮影自体よりも画像をどう患者説明に活かすかを重視した運用に変えます。

差別化ポイント

「メタルフリーへの移行」や「3Dプリント総義歯」などの新技術を取り入れ、患者に対して先進的かつ安心・安全な医療を提供する医院として差別化を図ります。

戦略③:地域・連携の拡大(在宅と医科歯科連携)

具体的なアクション内容

訪問診療のニーズ増大に対応するため、「歯科訪問診療料4・5」や「在宅療養支援歯科診療所(支援診1)」の施設基準(過去1年間の訪問実績18回以上等)への適合状況を確認し、クリアを目指します。また、糖尿病や周術期の患者について、医科主治医との紹介・逆紹介ルートを再確認し、情報連携を強化します。

効率化・継続の仕組み

「在宅歯科医療情報連携加算」等を活用し、ICTを用いた他職種(ケアマネジャー、栄養士等)との情報共有を効率化します。これにより、事務負担を軽減しつつ、地域完結型医療の中でのプレゼンスを高めます。

リスク回避の考え方

訪問診療における「予定外の緊急対応」の運用が明確化されています。緊急時に柔軟に動ける体制を整えておくことで、機会損失を防ぎ、地域からの信頼を獲得します。

3. ステップ別・実行ロードマップ

[Step 1]:短期的に取り組むこと(基盤整備)

「ベースアップ評価料」の届出要件を確認し、賃上げ計画を策定・実行する。歯科技工所との委託契約を見直す。

[Step 2]:中期的に目指す状態(診療フローの最適化)

歯周病継続支援治療への移行に伴うカルテ・運用フローの更新。CAD/CAMインレーやスキャナー活用など、デジタル技術の導入と定着。

[Step 3]:長期的な成果の安定化(地域連携の深化)

訪問診療の実績(年18回以上など)を積み上げ、支援診等の施設基準を取得・維持する。医科歯科連携を常態化させ、地域になくてはならない医院としての地位を確立する。

4. 成功を左右する「黄金律」とアドバイス

最も見落としがちなポイントは、「制度変更を単なる事務作業と捉えず、経営戦略として捉えること」です。今回の改定は、賃上げによる「人への投資」と、DXによる「業務効率化」を両輪で回すことを求めています。 次回の改定に向けて今起こすべき具体的な一歩は、「改定対応チェックリストに基づき、自院の現状とギャップを可視化すること」です。これにより、今やるべき優先順位が明確になります。

おすすめのビジネスレポート

◾️この記事を書いたコンサルタント

出口 清

プロフィール詳細

法政大学経営学部経営戦略学科卒業。
在学中は「ランチェスター戦略・マーケティングリサーチ」などを専攻。
入社以降、医療・歯科業界を中心として"マネジメント×採用"といったテーマを得意としている。
モットーは「PLに見える人財採用」

LINEはじめました!

LINE友だち登録で、歯科経営専門コンサルタントのコラムを読むことができます!

LINEはじめました!

無料経営相談受付中!

オンライン経営相談ページはこちら

メールマガジンのご案内

歯科医院経営コンサルティングレポート~船井流1000院からの成功事例報告~

歯科医院コンサルティング実績10年! 現場で積み上げた歯科経営成功事例満載のメールマガジンです。自費UP、増患、ホームページ対策、スタッフ育成、組織づくりなど、読んだ院長だけが得をする「3分でわかるノウハウ」を大公開します。

同じテーマで記事を探す