「歯科医院経営コンサルティングレポート」2014/04/08
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「歯科医院経営コンサルティングレポート 〜船井流 1000院からの成功事例報告〜」
2014/04/08号
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「歯科医院経営を社会事情から考える」
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こんにちは、船井総合研究所の砂川と申します。
今回のメルマガは私が担当させていただきます。
【2025年、医療費50兆円超えの時代に向けた取り組み。保険治療の先行き、本当に患者さんに求められる治療とは】
2014年医療業界(歯科業界)に大きなインパクトを与えるであろう2つの関心事は、
「消費増税」と「診療報酬改定」の2つでしょう。
消費税については、
政策的な配慮から患者さんが支払う医療費に消費税はかからない、
というのが現在の日本の制度です。
よって歯科医院の経営においては、
最終消費者と考えられる歯科医院が、
消費増税の煽りを受けるという仕組みになっています。
つい先日、
診療報酬の改定が発表されました。
歯科医院を経営する院長先生にとって、
診療報酬改定は経営に直接的な影響を与えうることから、
毎度改定のたびに戦々恐々と見守っているのではないでしょうか。
今回の診療報酬改定は、
既に公のものとなっていますが、
これからの歯科業界にとってどのようなインパクトを与えるのかを考察してみましょう。
歯科業界では、
1996年を境に、
1医院あたりの収入が落ちていますが、
歯科医療費自体はおおよそ2.5〜2.7兆円近辺を推移しており、
むしろ増加傾向にあります。
なぜ1医院あたりの収入が落ちているかといえば、
当然のことながら、
「歯科医院の数が急増」しているという背景があります。
今回の診療報酬改定は、
マイナス改定を予想する声もありましたが、
概ね歯科業界にとっては良い数値であったといえます。
医療費全体としては40.5兆円、
そのうち歯科に振り分けられるのは、
約0.63%の2.7兆円(増加傾向)ほど。
そのうち純粋な診療報酬アップ分は約0.12%、
損税分については約0.86%のアップで、
あわせて+0.99%の診療報酬改定となりました。
損税分の250億円(0.86%)の多くは初診料・再審料に振り分けられたため、
ほぼすべての歯科医院にとって恩恵があるといえます。
また250億円を全国の歯科医院6万8,700件で割ると、
平均で1医院あたり約36.5万円、月あたり約3万円の増加が見込めます。
(あくまで概算値)
材料や機材にかかる消費税は歯科医院が最終消費者となるため、
控除対象外の消費税、
いわゆる損税を負担することになります。
消費税が5%から8%に上がる分については、
既出の約36.5万円/年でカバーをしていくことになります。
また、この数字については、
極めて妥当な数字といえます。
歯科医院の平均的な売上は約3,900万円/年(325万円/月)であり、
そのうち技工料、材料費、公共料金などは売上に対して20%ほどだからです。
したがって、
月あたり65万円ほどかかる計算とり、
その消費増税分の3%をかけると、
これまでよりも約2万円程度負担が増します。
よって消費増税にあたり、
保険診療に与えるインパクトは現状ではそれほどないと考えられますが、
保険診療は非課税というならば、
初診・再診に点数を上乗せすることで、
結局は患者さんの負担が増えるという意味では矛盾する部分があり、
不完全な制度と考えることもできます。
【国民の医療費増大からみえてくる今後の医療政策とは】
日本の現在の医療費は、
既出の通り約40兆円ですが、
一般会計が約100兆円というところから考えると、
非常に高いウエイトであるといえます。
更に、
現在の税収は約50兆円、
税外収入が約5兆円、
残りは国債で財源を確保している現状があります。
一般家計の数字に直して考えてみるとこうなります。
年収550万円の家計が毎年1000万円を消費し、
足りない450万円分は銀行から借りて凌いでいます。
しかも現在の借金は1億円という状況とすると、
いかに危ない状況かがお分かりいただけると思います。
そこで、
医療費に絞って考えてみると、
現在の医療費は約35兆円、
2014年では約40兆円となっています。
税収が50兆円のうち、
40兆円が医療費ということから、
やはり非常に厳しいでしょう。
ただ、
近頃よく話題となっている2025年問題。
このときの医療費の推計も出ており、
なんと約54兆円。
もちろん今後の増税などを考えると、
このままの税収で推移することはありませんが、
少なくとも現在の税収を超える医療費になっていることが分かります。
また社会保障費全体で考えると、
介護の費用も増大することから、
この問題はすぐ目の前に迫っているといえるでしょう。
こうなると、
わが国の財布を握っている官僚たちが、
どのような手を打ってくるかは、
誰がみても明らかでしょう。
もちろん現在の日本の状況を考えると、
当然の流れといったところですが、
いかにして医療費を削減するかというところも大きな焦点になってきます。
【TPPと「聖域」とされている日本の医療について】
ここで可能性は低いとされていますが、
視野に入れておくべきはTPPにおける混合診療の全面解禁です。
アベノミクスで「量的緩和・質的緩和」が継続されていますが、
新成長戦略で必ず話題にあがるのは、
「医療」・「介護」・「農業」・「インフラ」の4つです。
成長戦略を考える上で紐づいているのは「規制緩和」であり、
「医療」も例外ではありません。
簡単にいうと、
「医療」に保険診療というルールを取っ払うことで、
市場原理を働かせるということです。
一般的には、
市場原理を導入すると競争が働き、
モノの値段は安くなるとされているため、
この可能性も十分に考えておくべきことです。
一方で、
アメリカの例から、
医療に市場原理を導入しても医療費の抑制にはならない、
という識者の主張もあるため、
今後の流れを注視しておくとともに、
最悪のケースにしっかりと備えておく必要があります。
【時代は歯科治療に金属を使用しない「メタルフリー治療」へ加速していく】
現在の日本の歯科医療において、
保険診療の補綴物を考えると、
金銀パラジウム合金を使用するケースが多いのは周知の通りです。
ご存知の通り、
今回の診療報酬改定において、
CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴が、
一部保険適用になります。
なぜGC社なのか、
という議論はいったん置いておくとして、
少なくとも今後、
日本の歯科医療のトレンドとしては、
金パラからの脱却という流れにあり、
それも近い将来(数年以内)に大部分が移行していくもの、
と考えてほぼ間違いないといえます。
その流れになっている一つの要因は、
金属の高騰があげられます。
2000年のパラジウムの価格は一時の高騰により、
割合では95.4%となっていますが、
例年通りであれば、
200%ほどの割合になります。
この金属価格の高騰から、
歯科医療費の削減を考えると、
代替材料への移行は必然的な流れといえます。
【先進国で金銀パラジウム合金を使用しているのは日本だけ】
この言葉は近年よく耳にする言葉です。
金属アレルギーを引き起こす可能性がある素材は使うべきではない、
という大義を持ち日々の診療にあたっている歯科医師の先生も多くなってきました。
先日のNHKの放送でも、
金属アレルギーについての特集が組まれていましたが、
ここ数年の風潮として、
「安心」、「安全」、「健康」という意識がより強く芽生えていることは、
その他メディアなどを通じて発信される様々な情報からも読み取ることができます。
近年では、
中国の冷凍餃子中毒事件などもその象徴ともいえます。
今日まで中国産食品のシェアが拡大してきた背景には、
消費者が中国産を購入することで、世
論としてある程度支持があったと考えることができますが、
当然消費者の需要がなければ、
いくら生産をしても売れ残るだけです。
したがって、
やはり消費者が中国産を受け入れていたことが、
シェア拡大を支えた要因でもあるといえます。
それではなぜ中国産の食品を購入するようになったのか。
もうお分かりの通り、
「低価格」ということに尽きるのです。
しかし今後は、
今回のギョーザ中毒事件やそれ以前からも報道されていた、
数々の中国産への不信感から、
より生産地をはじめとして、
「安全」、「健康」を意識することは間違いありません。
多少価格が割高であっても、
消費者が国産の食品を選ぶことは想像に容易いでしょう。
肝心の放送では、
潜在的な金属アレルギーを指摘しており、
誰しもがある日突然発症する可能性があるとしています。
また潜在的な予備軍を含めると、
推定で1000万人(10人に1人)もいるとされるといいます。
このデータの信憑性の議論よりも大事なことは、
全国放送のNHKによってこのような放送がなされていることであり、
歯科の現場においても、
「安全」、「健康」志向の時代がもうすぐそこまで来ている、
ということを読み解くことができる部分です。
【メタルフリー治療のススメ】
既出の通り、
医療費の増大、2025年問題、新成長戦略、TPPへの現実的な準備として、
日本の医療について、
近い将来何かしらの動きがあると考えた方が良いでしょう。
よって、
現状のままの制度が続いていくと考えるのは極めて危険といえます。
また近年の「安全」・「健康」志向の風潮から、
やはり歯科医療の現場においても、
「メタルフリー治療」を現実的なものと捉え、
その領域に足を踏み入れていくことが、
これからの歯科医療にとっては必要なのではないでしょうか。
1996年から歯科医療の1医院あたりの収入は減少しており、
これからもさらに加速する競合環境であることは、
他の業種・業態からも分かっていることです。
医院としての理念、方針を固めること。
そして現状を俯瞰しながら、
これからの時代に適応していくための取り組みを続けていく医院こそが、
これから本当に必要とされる医院として生き残っていくのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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