歯科業界の未来展望:2025年に向けた小児歯科経営戦略
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目次
本コラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の歯科コンサルタント、長瀬亘亮です。
はじめに
歯科業界は、少子高齢化や医療制度改革など、様々な変化に直面しています。特に、小児歯科においては、子供のう蝕率の低下や予防歯科への意識の高まりなど、従来のビジネスモデルからの転換が求められています。
本コラムでは、船井総合研究所が独自に調査したデータや、厚生労働省のデータをもとに、2025年に向けた小児歯科経営の展望と、成功するための具体的な戦略について解説いたします。
業界の時流についての解説
1. う蝕率の低下と予防歯科への意識の高まり
近年の生活習慣の改善やフッ素の普及により、子供のう蝕率は年々低下しています。 3歳児の乳幼児歯科健診におけるう蝕率の推移をみると、2014年には17.7%だったう蝕率が、2022年には8.6%まで低下しています。 このことから、歯科医院に通院する目的も、「う蝕を治す」ことから「う蝕にならないように予防する」ことにシフトしつつあり、今後はう蝕にならないための通院が増加していくと考えられます。
2. 歯科診療所の減少と医療法人化の進展
1990年から2022年までの歯科診療所の開設数と廃止数の推移をみると、廃止数は横ばいであるのに対し、開設数は減少を続けています。 2017年には開設数を廃止数が上回り、歯科診療所数は減少に転じました。 2024年8月末時点の歯科診療所数は66,390施設となっており、減少傾向は今後も続くと予想されます。
一方で、医療法人数は増加傾向にあり、1999年には7,007だった医療法人数は、2021年には15,635にまで増加しています。 これは、一院当たりの売上増加やM&Aの増加などが背景にあると考えられます。 この流れは今後も続くと考えられ、歯科医療機関の大規模化が進むと予想されます。
3. 少子化と一人っ子・共働き家庭の増加
少子化の進行は、小児歯科にとって大きな課題です。 1970年には1,000万人を超えていた0~14歳の人口は、2020年には800万人にまで減少しており、2060年には400万人を下回ると予測されています。 さらに、一人っ子や共働き家庭の増加により、子供一人にかける教育費や医療費が増加する傾向にあります。
4. 口腔機能管理の重要性と診療報酬改定
2024年の診療報酬改定では、「か強診」に代わる新たな施設基準として「口腔管理体制強化加算」が新設され、口腔機能管理の実績が求められるようになりました。 これは、国を挙げて口腔機能管理に取り組む姿勢の表れであり、小児歯科においても、口腔機能発達不全症への対応が重要となります。
具体的には、小児に対しては口腔機能発達不全症の算定、高齢者に対しては口腔機能低下症の算定を行う必要があり、さらに歯科口腔リハビリテーション料3の新設により、口腔機能管理のための検査・診断だけでなく、改善に向けた指導が重視されています。
今後の予測
上記の業界トレンドを踏まえ、2025年の小児歯科業界は、以下のような状況になると予測されます。
- 予防歯科の需要増加: う蝕率の低下と予防意識の高まりにより、予防歯科の需要はさらに増加すると考えられます。
- 競争の激化: 歯科診療所の減少と医療法人化の進展により、競争が激化すると予想されます。
- 口腔機能管理の重要性が増大: 診療報酬改定の影響もあり、口腔機能管理の重要性はますます高まると考えられます。
- 患者のニーズの多様化: 少子化と一人っ子・共働き家庭の増加により、患者のニーズはより多様化すると予想されます。
2025年に向けた小児歯科経営戦略
2025年に成功するためには、上記の予測を踏まえ、以下の戦略を積極的に実行していく必要があります。
- 予防歯科への注力: 従来の治療中心の診療体制から、予防歯科を中心とした診療体制へと転換していく必要があります。 具体的には、小児のメンテナンス体制の整備が重要となります。 多くの歯科医院では、虫歯の治療を目的とした患者が多く、予防のために来院する患者は少ない現状です。 そこで、治療から予防のための歯科受診に目的を変え、継続的な来院を促す体制を整える必要があります。
- 口腔機能管理の強化: 口腔機能管理料の算定を積極的に行い、口腔機能管理体制を強化していく必要があります。 口腔機能管理を効果的に行うためには、メンテナンスと組み合わせ、診療フローの中に組み込むことが重要です。 例えば、1年検診で口腔機能検査を行い、異常があれば3ヶ月ごとにメンテナンスと口腔機能管理を組み合わせた診療を提供する、といった流れが考えられます。
- 小児矯正(予防矯正)の提供: 口腔機能管理と連携し、小児矯正(予防矯正)を提供することで、患者のニーズに応えるとともに、収益の安定化を図ることができます。 特に、悪い口腔習癖がある子供に対して、早期に小児矯正(予防矯正)を案内することが重要です。 口腔機能管理から取り組むことで、矯正を開始すべき時期に適切な案内ができ、保護者の理解も深まるため、成約率の増加、ひいては安定した小児矯正の成約獲得につながります。
- 低年齢からの集患: マタニティ歯科や乳幼児健診などを通して、低年齢からの集患を強化していく必要があります。 具体的には、大人の患者に対して、子供や兄弟を連れて来院するよう促すことが有効です。 問診票に家族構成を記入する欄を設けたり、カウンセリング時に家族感染について説明したりすることで、家族ぐるみでの来院を促すことができます。 また、児童館などへの挨拶回りや歯磨き教室の実施なども有効な手段です。
- 差別化戦略: 口腔機能管理に加え、姿勢や呼吸などの分野にも対応することで、他の歯科医院との差別化を図ることができます。 口腔機能管理を包括的に行うためには、姿勢や呼吸にも目を向けることが重要であり、地域で選ばれる小児歯科医院になるためには必須の要素となります。
- 質の高い医療提供: 一人っ子や共働き家庭の増加により、「良い治療を受けさせたい」というニーズが高まっているため、自費診療や質の高い医療提供体制を構築することが重要となります。
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●スタッフ教育とチーム医療体制の構築方法
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まとめ
少子化や予防歯科への意識の高まりなど、小児歯科を取り巻く環境は大きく変化しています。 2025年に成功するためには、これらの変化に対応し、予防歯科、口腔機能管理、小児矯正などを積極的に取り入れた経営戦略が必要となります。上記の取り組みを参考に、時代の変化に対応できる、地域で選ばれる小児歯科医院を目指しましょう。
船井総合研究所は、豊富な実績とノウハウで、貴院の成長をサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
◾️この記事を書いたコンサルタント
長瀬 亘亮
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