令和6年度(2024年)歯科診療報酬改定の動向(詳細版)

2023年09月05日 (火)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

船井総合研究所 坂下大樹です。

本コラムでは、令和5年7月12日に公開された2024年度の歯科診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会総会(第549回)の議事次第をもとに、現状で考えられる診療報酬改定のポイントの整理と改定に向けた歯科医院での行動指針について解説をさせていただきます。

今後も3月の告示まで随時最新情報を更新させていただきますのでご確認ください。

令和6年度診療報酬改定は大きな転換点に

2024年度の診療報酬改定では、これまでの基本方針に掲げていた団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」への対応のために、2025年までの確立を目指してきた「地域包括システム」と「地域医療構想」に向けた最後の診療報酬改定となります。さらに、次回の改定は医療報酬と介護報酬のダブル改定の年でもあります。
また、アフターコロナにおける新基準の感染症対策の確立やマイナ保険証の導入や電子処方箋の義務化、遠隔診療といったデジタル化社会への適応など様々な観点から大幅な診療報酬改定も予測されるため、これらがどの程度反映されるかが注目されます。

令和6年度診療報酬改定のポイント

今回の議事次第の中で取り上げられた論点は、下記の6項目となります。

  1. かかりつけ歯科医に求められる機能や評価
  2. 医科歯科連携やリハビリ・介護等の連携の更なる促進
  3. 歯科外来診療における院内感染防止対策と外来環境整備の評価
  4. 口腔疾患の重症化予防や口腔機能管理の推進に向けて衛生実地指導の評価も含め、
    診療報酬のあり方。障害者等の歯科診療における評価と対応
  5. コロナ禍における臨時的な電話や情報通信機器を用いた診療の評価
  6. 歯科固有の技術の評価

上記の項目のうち、特に注目すべきポイントは「か強診の施設基準の見直し」が言及されているという部分です。

具体的な言及として、文章内にはか強診の施設基準の中に「小児の歯科治療に関する要件が設定されていない」と記載されているため、今後の施設基準の中に組み込まれることが想定されます。

では、小児の歯科治療に関する要件の設定とは具体的にどのような項目になるか。
1つは、むし歯予防の観点から現在も設定されている「過去1年間にフッ化物歯面素塗布処置またはエナメル質初期う蝕管理加算の算定回数が10回以上算定している」という部分に関連して、小児に限定される項目が追加される可能性です。具体的には、2022年度の診療報酬改定にて、適応要件が拡大された、フッ化物洗口加算の算定回数やフッ素塗布全般の算定ではなく、う蝕多発傾向者に限定したフッ素塗布が含まれるということが予想されます。
もう1点は、口腔機能管理の促進の観点から、小児口腔機能管理料の算定回数が要件に含まれることが想定されます。ただし、こちらについても後述しますが、小児の歯科疾患管理料の算定件数に対する小児口腔機能管理料の算定件数の割合が4.9%と低い割合になっていることから、か強診の取得件数の維持や増加させたいという観点を考慮すると、まだ早計のように考えられます。

いずれにせよ、次回の改定では小児分野におけるか強診の施設基準の引き上げが想定されますので、現在取得している医院様も今後取得を予定している医院様も注目すべきポイントかと言えます。

次の注目するポイントは、口腔疾患の重症化予防に関する点です。
こちらについては、前回の改定で統合されたSPTや口腔機能管理を推進する部分について言及されているが、特に後者の口腔機能管理については、いまだに算定割合が低調であり、先ほどのか強診の基準の中でも述べたように、小児口腔機能管理料の算定割合が20歳未満の患者への歯科疾患管理料の算定数に対する小児口腔機能管理料の算定割合が4.9%であるとともに、ご高齢者を対象とした口腔機能管理料については、前回の改定で50歳以上に対象が拡大された影響もあるが、歯科疾患管理料の算定数に対する割合が0.65%とかなり低い割合となっております。ちなみに50歳に引き下げられる前の数値でも0.81%と全体の1%を下回っている状態であり、算定状況の改善を指摘されていました。
また、その中で口腔機能管理を推進する側面から衛生実地指導の見直しも示唆されており、単なる点数の見直しだけでなく、衛生実地指導の項目に関しても追加されることが予想されます。

その他、これまでに引き続き医科歯科連携に関わる項目の更なる推進や感染防止対策を含めた外来環境対策の推進などは引き続き協議される方向性です。

冒頭にも記載したように、今回の改定では大きな変更が予測されるため、今後の通達では歯科固有の技術の評価など新たな技術が算定可能になることも予測されます。

本コラムでも改正情報については随時更新させていただきますので、
ご注目いただけると幸いです。

 

▼『歯科医院 時流予測レポート2024 ~今後の業界動向・トレンドを予測~』 無料ダウンロードはこちら

◾️この記事を書いたコンサルタント

坂下 大樹

プロフィール詳細

船井総研入社後、呉服業、クリーニング業、家事代行業といった女性が活躍する業界
でのコンサルティング業務に従事し、女性マネジメントの研究を行う。
現在は、歯科医院のコンサルティングに従事し、歯科衛生士採用のコンサルティング
をメインテーマとする。全国の歯科衛生士学校をまわり、学校現場のリアルな声を反
映させた採用ソリューションには定評がある。
また、業界未経験の歯科助手の教育やモチベーションが上がる組織作りを得意とし、
全国の歯科医院に笑顔を届けている。

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

LINEはじめました!

LINE友だち登録で、歯科経営専門コンサルタントのコラムを読むことができます!

LINEはじめました!

無料経営相談受付中!

オンライン経営相談ページはこちら

メールマガジンのご案内

歯科医院経営コンサルティングレポート~船井流1000院からの成功事例報告~

歯科医院コンサルティング実績10年! 現場で積み上げた歯科経営成功事例満載のメールマガジンです。自費UP、増患、ホームページ対策、スタッフ育成、組織づくりなど、読んだ院長だけが得をする「3分でわかるノウハウ」を大公開します。

同じテーマで記事を探す

医療・介護向けM&A

×

医療・介護向けM&A

×