+3.09%高水準改定は、賃上げ対応だけじゃない【目標共有型歯科】ゴールのある管理へ
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皆様
いつも大変お世話になっております。
株式会社船井総合研究所、歯科支援部リーダーの 山本 喜久 でございます。
お忙しい年末の合間を縫って、本コラムをご開封いただき、誠にありがとうございます。
本年も一年弊社コラムをご愛読いただきありがとうございました。
ついに、歴史が動きました。政府および中医協より、2026年度(令和8年度)診療報酬改定の「改定率」ならびに「基本方針」が決定されました。
この決定事項は、単なるニュースではありません。来年度、2026年からの歯科医院経営の「生存戦略」そのものです。
いち早くこの内容を掴み、今から「時流適応」を始めた医院様だけが、次なる時代も地域医療のリーダーとして選ばれ続けると断言できます。
■令和8年度(2026年度)診療報酬改定に関する調査報告(政府・中医協2025年12月発表資料に基づく)
今回、政府が下した決断は、30年ぶりの高水準となる「本体プラス3.09%」という数字でした。インフレ脱却と賃上げ、そして医療崩壊を防ぐための、まさに国を挙げた「異例の投資」です。
しかし、ここで思考停止してはいけません。「点数が上がって良かった」ではなく、その中身を読み解く必要があります。
この+3.09%の内訳を見ると、国が歯科医院に求めている「must(やらなければならないこと)」が浮き彫りになります。
【改定率の内訳(推計含む)】
賃上げ対応分:+1.70%(全体の過半数!)
物価高騰・重点施策分:+1.39%(物価高騰対応、食支援、DX推進など)
つまり、今回の改定の本質は、①スタッフへの賃上げ(人への投資)②治療結果へのコミット(アウトカム)③DXと効率化(構造改革)の3点に集約されます。
医院様の診療方針を決めるうえで大切な、will(やりたい診療)・can(得意な診療)・must(求められる診療)の3軸を進化させるため、今回の決定をどう自院に落とし込むか。明日から使える「具体策」と共に解説いたします。
【最重要】医療スタッフの賃上げと確保(ベースアップ)
改定率の過半数を占める「+1.70%」は、明確に「賃上げ対応分」です。これは、「利益が増える」のではなく、「スタッフに還元しなさい」という国からの強力なメッセージです。
ニュース等で「賃上げ」の話題が出る中、スタッフは「うちはどうなるんだろう?」と不安や期待を抱いています。ここで医院側が沈黙してしまうと、不信感からの離職につながるリスクがあります。
【医院で取り組むべき具体策】
・院長からの「方針」共有:具体的な金額を今すぐ約束する必要はありません。「国の新しい制度を活用して、皆さんの待遇を良くできるよう現在シミュレーションを進めている」という“検討中である事実”だけでも伝えてください。これだけでスタッフの安心感は大きく変わります。
・給与規定のシミュレーション:ベースアップ評価料を活用し、無理のない範囲で基本給(ベア)をどう引き上げるか、顧問税理士と連携して早期に試算を開始してください。
口腔機能管理のアウトカム評価(結果へのコミット)
前回の「口管強」の流れはさらに加速します。「管理料を算定した」というプロセスだけでなく、「実際に機能が改善したか?」という結果(アウトカム)がシビアに問われます。資料にもある通り、有床義歯等において「噛める装置を付けた先に、口腔機能がどう変化したか」を評価する体制の推進が始まります。
【医院で取り組むべき具体策】
・「数値」の可視化:咀嚼機能検査や舌圧測定をルーチン化してください。重要なのは検査だけでなく、「数値がこれだけ改善した」と患者様にグラフ等でフィードバックするフローの構築です。
・「卒業」の設定:ダラダラと通うのではなく、「この数値まで改善したらゴール(またはメンテナンス移行)」という目標共有型の診療へシフトしてください。これが患者様のモチベーションと信頼を生みます。
DX推進と金属価格高騰への対応(デジタル・メタルフリー)
金パラ高騰への対応として、メタルフリーへの誘導とデジタル化は止まりません。マイナ保険証や電子処方箋といった医療DXは、もはや「加点」ではなく「標準装備」となります。また、3Dプリント義歯の保険適用案など、デジタルを活用した「質の均質化」と「効率化」が国策として推進されています。
【医院で取り組むべき具体策】
・マイナ保険証利用率の向上:利用率が低い場合の減算リスクを避けるため、受付任せにせず、院長主導で「声掛けマニュアル」を徹底してください。
・デジタル投資の判断:IOS(口腔内スキャナー)等の導入を、「コスト」ではなく、将来の技工士不足・人件費高騰に備えた「省人化投資」と捉え、検討を進めてください。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
今回の「+3.09%」という数字は、政府が医療崩壊を回避するために支払ったコストであり、同時に私たち歯科医療従事者に託された「賃上げとDXによる構造改革を断行するための『原資』」でもあります。
まずは取り急ぎ、決定事項の速報と、経営者がやるべき「初動」についてご案内させていただきました。今後、より具体的な点数配分や施設基準の詳細は、判明次第すぐに皆様へお届けします。
今回の歴史的な診療報酬改定をチャンスに変え、「賃上げ」と「質の向上」を両立する、より強い歯科医院経営を共に創っていければと存じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◾️この記事を書いたコンサルタント

山本 喜久
関西学院大学法学部出身。新卒で船井総合研究所に入社。
大学時代から、難関校専門の塾講師として活躍。その時の経験から「人に教える」ことを最も得意とし、それを応用したカウンセリング体制の構築には定評がある。経営者に寄り添いながら、粘り強く「歯科医院経営者の夢を叶える」ことをコンサルタントとしての信条としている。
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