算定だけになっていませんか?「小児口腔機能発達不全症」対応医院が選ばれる

2025年09月30日 (火)

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いつもコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 歯科支援部リーダーの山本喜久です。

本日は、2026年度の診療報酬改定に向けて、業界として見逃すことのできないテーマを取り上げます。
先日、中医協(令和7年9月10日開催)で公開された資料を精読し、
特に注目すべき「小児口腔機能発達不全症」への取り組みについて緊急で解説いたします。

▼中医協資料はこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001560014.pdf

なぜ今「小児口腔機能発達不全症」なのか?

診療報酬改定の基本的な原則は一貫しています。
「国が推進したいテーマに点数をつける」

2024年度改定を思い返してください。高齢者の口腔機能低下症に加え、小児口腔機能発達不全症が口腔管理体制強化加算(口管強)に組み込まれました。これは単なる制度改正ではなく、国が「歯科医療を社会課題解決の主軸に据える」という強い意思表示です。

日本では小児のむし歯が減少してきた一方で、口呼吸や舌癖などの悪習癖が増加しています。つまり「むし歯は減っているが、機能の問題は悪化している」のが現状です。この流れを放置すれば、呼吸・咀嚼・発音・嚥下などの基礎機能が未熟なまま成長し、将来の健康寿命や生活の質に深刻な影響を与えかねません。

「国が点数を付ける=国として解決しなければならない課題である」。
小児口腔機能発達不全症は、今まさに歯科医院が力を注いで当然の”アタリマエの”診療テーマなのです。

2026年度改定の注目ポイント

今回の資料から読み取れる方向性は、大きく2点です。

①結果に基づく評価が強化される
 単なる検査やチェックにとどまらず、
 - 悪習癖が改善したか
 - 正しい発音や嚥下ができるようになったか
 といった「機能改善の成果」が評価対象となる見込みです。これまで以上に、「実際に子どもの生活の質を高められているか」が問われるようになるでしょう。

②管理栄養士(RD)との連携が不可欠に
 小児の口腔機能は「食べること」と切り離せません。偏食や咀嚼習慣の乱れ、発育に応じた食形態の指導など、管理栄養士が担う役割は大きくなります。歯科と管理栄養士が連携したチーム医療は、今後さらに評価される方向です。

これらは単なる制度の改正ではなく、歯科医院が未来の日本をどう支えるかを問う指針です。この流れに皆様の医院で乗れる準備は済んでおりますでしょうか。

医院が今すぐ始めるべきステップ

では、私たちはどのように行動すべきでしょうか。
今から準備できるステップを整理しました。

①問診・チェックリストの導入:哺乳・離乳・発音・呼吸習慣を体系的に確認できるチェックリストを活用し、入口の段階から精度の高い診断を行う。

②スクリーニング検査の実施:舌の動きや咀嚼・嚥下を評価できるツールを導入し、数値や記録として残すことで、改善の見える化を図る。

③診断と保護者への説明:「機能の未発達が子どもの将来にどう影響するか」を丁寧に伝え、家庭での生活習慣改善や訓練の重要性を共有する。

④機能訓練・行動指導の実施:ペコぱんだ等の教材を活用し、舌や口唇の筋トレーニング、正しい嚥下・呼吸法の習得をサポートする。

⑤管理栄養士(RD)との連携:偏食や発達に応じた食事内容を指導できるRDとの協働体制を構築。食習慣からのアプローチを加えることで、診療の質をさらに高める。

⑥継続的フォローアップ:成長の節目ごとに再評価し、改善度合いを数値とエピソードで記録。保護者と成果を共有し、診療報酬算定にもつなげる。

これらを医院内で仕組み化することは、改定に対応するだけでなく、**「地域の子どもたちの未来を守る」という大義を実現する具体的な行動」**になります。

《まとめ》
小児口腔機能発達不全症は、単なる歯科疾患の一つではありません。
日本の将来を担う子どもたちの「健口=健康」を支える国家的テーマです。
2026年の診療報酬改定を「待つ」のではなく、今から準備を進めることこそが、医院の成長と地域社会への貢献につながります。

皆様の医院では、小児口腔機能発達不全症への対応体制は整っていますでしょうか。
検査や指導の導入、算定方法の仕組みづくりについてご関心のある方は、ぜひ一度ご相談ください。今取り組みを始めた医院こそが、地域から信頼され、未来に選ばれる医院になります。
私たちがこの課題に本気で取り組むことで、子どもたちの未来を守り、地域の健康を支え、そして歯科業界全体の発展にもつながります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◾️この記事を書いたコンサルタント

山本 喜久

プロフィール詳細

関西学院大学法学部出身。新卒で船井総合研究所に入社。
大学時代から、難関校専門の塾講師として活躍。その時の経験から「人に教える」ことを最も得意とし、それを応用したカウンセリング体制の構築には定評がある。経営者に寄り添いながら、粘り強く「歯科医院経営者の夢を叶える」ことをコンサルタントとしての信条としている。

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