【速報】令和6年度(2024年)歯科診療報酬改定における基本診療料の変更点と算定方法について~診療報酬改定の項目詳細の読みとき⑨~
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- 診療報酬改定・保険改正
船井総合研究所の板谷賢太です。
いつもメルマガやコラムをお読みいただき誠にありがとうございます。
本コラムでは、令和6年2月14日に開催された2024年の歯科診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会総会(第584回)の議事次第をもとに、最新の診療報酬改定情報をお伝えさせていただきます。
今回の改定における大きなポイントは下記の項目になります。
1. 現行の「か強診」が削除され、「口腔機能管理体制強化加算」に全面移行
2.「外来環」が廃止され、「歯科外来診療医療安全体制加算」と「歯科外来診療感染対策
加算」の2つに分けられ、より高い水準の施設基準に変更
3. 「医療DX推進体制加算」や「オンライン初診・再診料」などが新設
4. 医科歯科連携に関する範囲拡大
5. 訪問診療の区分の細分化および算定範囲の拡大
6. 歯科技工士との連携加算の新設
7. 矯正相談料の新設
本コラムでは、ポイント2,3に関わる「基本診療料の具体的な点数変更」について整理させていただきます。
【基本診療料】
“中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第”によれば、
―――[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第より引用]―――
「歯科診療にかかる評価について、標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること、医療機関の職員や歯科技工所で従事する者の賃上げを実施すること等の観点から、初再診料や歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る項目について評価を見直す」
――――――
との記載があり、歯科初診料、歯科再初診料の点数アップが提言されています。
具体的な点数の変更は下記の通りとなっています。
「歯科初診料 (地域歯科診療支援病院歯科初診料)」
(旧)264(288)点 ⇒ (新) 267(291)点
「歯科再診料(地域歯科診療支援病院歯科再診料) 」
(旧) 56 (73)点 ⇒ (新) 58 (75)点
また、初診料及び再診料等について、情報通信機器を用いて歯科診療を行った場合の評価が新設されます。
「歯科初診料 情報通信機器を用いた場合」
(新設) 233点
「歯科再診料 情報通信機器を用いた場合」
(新設) 51点
情報通信機器を用いて行う歯科診療の評価に対する基本的な考え方として、
―――[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第より引用]―――
「これまでの情報通信機器を用いた歯科診療の実態も踏まえ、継続的な口腔機能管理を行う患者及び新興感染症等に罹患している患者で歯科疾患による急性症状等を有する者に対する情報通信機器を用いた歯科診療を行う場合について、新たな評価を行う。」
――――――
との記載があり、
また、算定要件として、
――――――
との記載があり、
また、算定要件として、
―――[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第より引用]―――
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、特に情報通信機器を用いた歯科診療を行うことが必要と認められる者に対して、情報通信機器を用いた初診を行った場合は、院内感染防止対策に関する届出の有無にかかわらず、歯科初診料又は地域歯科診療支援病院歯科初診料について、所定点数に代えて、233 点を算定する。」
――――――
(※このときの施設基準とは「情報通信機器を用いた歯科診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。」)、
と掲げられているため、特に継続的な口腔機能管理を行う患者様に対し情報通信機器(電話/SNS等)を用いて歯科診療を行うことで効率的な算定が見込めます。
【感染症対策関連加算】
続いて、昨今のCOVID-19に始まるコロナ情勢/その他感染症拡大を鑑みて、国は新興感染症がいつ発生・蔓延しても対応可能な医療機関づくりを推奨し、加算を提言しています。
詳細な施設基準について今回は割愛しますが、下記の項目は全て感染症拡大防止に係る施設基準を満たしている必要があります。さらに、施設基準は項目により異なります。[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第を参照]
初診の場合
「歯科外来診療医療安全対策加算1、2(2は地域歯科診療支援病院歯科初診料)」
(外来環は廃止) ⇒ (新設) 1:+12点、2:+13点
[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯科外来診療における医療安全対策に係る取組を行った場合は、歯科外来診療医療安全対策加算1として、初診時1回に限り 12 点(13点)を所定点数に加算する。
「歯科外来診療感染対策加算1、2、3、4 (3、4は(地域歯科診療支援病院歯科初診料)」
(外来環は廃止) ⇒ (新設) 1:+12点、2:+14点、3:+13点、4:+15点
[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯科外来診療における院内 感染防止対策に係る取組を行った場合は、歯科外来診療感染対策加算1として、初診時1回に限り 12 点(14点、13点、15点)を所定点数に加算する。
※このとき、加算が1もしくは3となるか、2または4となるかは、満たす施設基準によって異なります。[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第を参照]
再診以降の場合
「歯科外来診療医療安全対策加算1、2※(2は地域歯科診療支援病院歯科再診料)」
(外来環は廃止) ⇒ (新設)1:+2点、2:+3点
「歯科外来診療感染対策加算1、2、3、4※(3、4は地域歯科診療支援病院歯科再診料)」
(外来環は廃止) ⇒ (新設)1:+2点、2:+4点、3:+3点、4:+5点
※このとき、加算が1もしくは3となるか、2または4となるかは、満たす施設基準によって異なります。[中央社会保険医療協議会 総会(第584回)議事次第を参照]
【DX関連加算】
また、今回の改定において、医療・歯科業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)も注目されており、新たに加算項目が加わりました。
「医療DX推進体制整備加算 (歯科初診料・地域歯科診療支援病院歯科初診料) 」
(新設) +6点
[算定要件]
医療DX推進に係る体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合は、医療DX推進体制整備加算として、月1回に限り6点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号●●に掲げる在宅医療DX情報活用加算は同一月においては、別に算定できない。(※●●は非公表)
[施設基準]
(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
(3)歯科医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。
(4)電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること。
(5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。
(6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること。
(7)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(8)(7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。
(9)現行の医療情報・システム基盤整備体制充実加算と同様に、B004-1-6に掲げる外来リハビリテーション診療料、B004- 1-7に掲げる外来放射線照射診療料及びB004-1-8に掲 げる外来腫瘍化学療法診療料において、包括範囲外とする。
医療DX推進体制整備加算の施設基準を読むと、現在の自院では施設基準を満たすことが難しい、と感じる方が多いかと思います。しかし、今回「医療DX推進体制整備加算」が新設されたということは、国は今後、高い確率で医療業界のDXの推進を行い、DXの進んでいる医院に対し次回以降の改定で優遇処置を増やすことが予想されます。自院では難しいとお考えの方も早期対応が望ましいと言えるでしょう。
【特別対応加算】
また、加算項目の中で最も加算点数が高いため目を引くものに、下記の「歯科診療特別対応加算1、2、3」があります。これらは、現行の「歯科診療特別対応加算」に加え、「歯科診療受診が困難な方」の定義を細分化、診療方法を細分化することで、加算点数に違いができたものです。
「歯科診療特別対応加算1、2、3、1時間を超えた場合(30分又はその端数を増すごとに加算)(再診も同様)」
(旧) +175点
⇒(新)1:+175点、2:+250点、3:+500点、1時間を超えた場合:+100点
歯科診療特別対応加算1はこれまでの歯科診療特別対応加算と同様のものです。
歯科診療特別対応加算2では、「歯科診療受診が困難な方」に対し、「円滑に処置する手技・手法を用いる、もしくは個室/陰圧室にて診療を行う」などの高レベルな診療手技を用いた場合、250点の加算が得られます。
歯科診療特別対応加算3では、「感染症罹患者 ※感染症種別の詳細略、詳細定義あり」に対し診療を行った場合、500点の加算が得られます。
加えて、「歯科診療特別対応加算1、2、3」では、診療時間が1時間を超えると、30分毎に100点の加算が可能となります。
本記事では、基本診療料といくつかの加算項目に着目し、具体的な診療報酬改定前後の診療点数について解説致しました。5月12日に開催される弊社主催のセミナーでは、より詳細な診療報酬改定への対策をご紹介しますので、お早目にお申し込みください。
※お席の数に限りがございます。あらかじめご了承ください。
以上、ご拝読いただき、誠にありがとうございました。
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◾️この記事を書いたコンサルタント
板谷賢太
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