【速報】令和6年度診療報酬改定情報~医科歯科連携の動向~歯科医院にとっての医歯薬連携とは!?
- コラムテーマ:
- 診療報酬改定・保険改正
船井総研 眞野でございます。
皆さん、いつもメルマガやコラムをお読みいただき誠にありがとうございます。
今回も前回同様に、令和6年2月14日に公開された2024年度の歯科診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会総会(第584回)の議事次第をもとに、最新の診療報酬改定情報をお伝えさせていただきます。
今回は、医科や調剤薬局との連携に関連する項目が発表されたので整理しつつ、その後の動向を考察してまいりたいと思います。
まず前提かつ結論的な見方として押さえておいていただきたい事としましては、今回の診療報酬改定は“医歯薬連携の次元上昇元年”であるということです。
具体的には、これまでは机上の空論的な理想像として扱われてきたといっても過言ではない『歯科からも全身疾患へアプローチしていく』ことや『医科から患者に対して歯科処置を推奨する』という連携行為に対して診療報酬にてインセンティブが付くということや項目としてうたわれるということです。
医歯薬連携に関連する項目の点数改定をピックアップいたしますが、関連する項目が多岐にわたるので、各章から引用すると、
—-以下、引用—-
<Ⅱ-5外来医療の機能分化・強化等-①生活習慣病に係る医学管理料の見直し>
1.生活習慣病管理料の評価及び要件について、以下のとおり見直すとともに、名称を生活習慣病管理料 とする。
(1)生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化するとともに、令和7年から運用開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合、血液検査項目についての記載を不要とする。あ
わせて、療養計画書について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。
(2)診療ガイドライン等を参考として疾病管理を行うことを要件とする。
(3)生活習慣病の診療の実態を踏まえ、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理 を行う要件を廃止する。
(4)歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することを望ましい要件とするとともに、糖尿病患者に対して歯科受診を推奨することを要件とする。
【生活習慣病管理料(Ⅰ)】
[算定要件]
(11)糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導
を行うこと。 また、糖尿病の患者について、歯周病の診断と治療のため、歯科受診の推奨を行うこと。
<Ⅱ-6新興感染症等に対応できる地域における医療提供体制の構築に向けた取組-⑤新興感染症等に対応可能な歯科医療提供体制の構築>
5.歯科治療時医療管理料等について、新興感染症等の患者を対象患者に追加する。
【歯科治療時医療管理料】
[算定要件]
(1) 歯科治療時医療管理料は、高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能不全、てんかん、慢性腎臓病(腎代替療法を行う患者に限る。)の患者、人工呼吸器を装着している患者、在宅酸素療法を行っている患者又は感染対策が特に必要な患者に対して、歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行った場合に算定する。
※在宅患者歯科治療時医療管理料についても同様。
【歯科疾患管理料総合医療管理加算】
[算定要件]
(16)「注11」の総合医療管理加算は、糖尿病の患者、骨吸収抑制薬投与中の患者、感染性心内膜炎のハイリスク患者、関節リウマチの患者、血液凝固阻止剤投与中の患者、HIV感染症の患者又は感染対策が特に必要な患者であって、別の医科の保険医療機関の当該疾患の担当医から歯科治療を行うに当たり、診療情報提供料に定める様式に基づいた文書により患者の全身状態や服薬状況等についての必要な診療情報の提供を受け、適切な総合医療管理を実施した場合に算定する。なお、算定に当たっては当該疾患の担当医からの情報提供に関する内容及び担当医の保険医療機関名等について診療録に記載又は提供文書の写しを添付する。
といった内容です。
病院であろうと医科クリニックであろうと歯科を切り離した別の診療科目ではなく「同様に疾患を診るチームの一員」として歯科をあつかうような促しが強いということです。
歯科医院として医歯薬連携をいかに捉えていくのか
まずは、医科や調剤薬局の動向もしっかりと押さえておくことから始めてほしいと思います。どうしても歯科医師としては自身の診療科目にまつわる項目や点数動向のみをみていく傾向が強いと言えます。
それもやむを得ないことであり、これまでは医科の各診療科目と歯科とでは“別物”といった、1診療科目の違い以上の隔たりが精神的な部分でも実際の診療現場感からもありました。
ですが、今回の診療報酬改定の内容をチェックしていくことで、これまでのスタンスではいられないであろうことが分かってくると思いますし、それこそが時流適応と言えます。
医歯薬連携の具体事例
具体的に1つ例を挙げると、糖尿病患者の医科での治療においても歯科での歯周病治療を施してもらわねば良好な経過をたどることができないと示されたことを踏まえて、来院患者のもつ疾病を把握することだけではなく、糖尿病内科のクリニックから紹介された患者に対して徹底した歯周病治療を促し施していくことが一層求められるということです。そして、そんな患者は疾患を持たない患者に比べて治療リテラシー(治療に臨む気持ち)のレベルが違うであろうことを踏まえた全顎的な治療提案にも前向きな理解をするであろう想定を持てるので、状態が悪い補綴物のやり替えや欠損部位に対する補綴も根拠をもった計画提案をしていけるでしょう。
また、服用している処方内容からカリエスやペリオの進行が促進されるであろうリスクをキャッチできれば、相応なメンテナンス習慣を伝えていけるのではないかとも思います。
より具体的な施策の例とは
上記を踏まえて春までに準備したいポイントとしては、初診患者に対するカウンセリングでしょう。
特に、治療中の疾患や服用中のお薬を積極的に確認し把握していくことや、糖尿病の持病を持っているか否かの確認はこれまでよりも明確に実行していくことで、その後の病状説明や治療提案における“伝え方”が変わってきます。
安易に問診票だけでヒアリングし把握しようとせずに、お薬手帳の提示を求めてチェックしていくことやカウンセリングを通した対人コミュニケーションの中で先述した内容の有無をしっかりと確認していくこと、およびその有無が歯科治療にどんな関連性を持っているかを伝えていくこと、を使用するスライドやヒアリング項目に盛り込むことが一歩目として重要となるでしょう。
そして、まずは徒歩圏内の糖尿病内科や一般内科のクリニックと直接的な連携をすべく挨拶周りなり、医院紹介をするといった足を使った取り組みも重要になるかと思います。
より具体的な施策については、先進事例も踏まえて網羅的な観点で当社セミナーでも発信していきたいと考えておりますので、皆さま、必ず下記セミナーをご確認ください。
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◾️この記事を書いたコンサルタント
眞野 泰一
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