【緊急配信】プリントデンチャーが保険適用!?歯科業界のデジタル化の幕開け

2025年11月12日 (水)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

皆様
いつもお世話になっております。
株式会社船井総合研究所、歯科支援部リーダーの 山本 喜久でございます
お忙しいところ、本コラムをご開封いただき、誠にありがとうございます。
表題の件、中央社会保険医療協議会(中医協)の資料において、
3次元プリント有床義歯(通称:プリントデンチャー)に関する具体的な保険適用案が示されました。
これは、来年度の診療報酬改定における、
義歯製作の未来を決定づける最重要指針
となるものです。
※中医協:11月12日発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001594225.pdf

このデジタル化という「時代の潮流」をいち早く捉え、
貴院の成長戦略に活かすために、
プリントデンチャーの真の意義と今後の対応検討について、
徹底的に深掘りします。

プリントデンチャーがもたらす革新

プリントデンチャーとは、従来の義歯(入れ歯)製作における煩雑な工程を、デジタル技術で代替した、まさに次世代の補綴技術といえます。
従来、義歯の製作は、熟練の技工士による手作業と時間を要する緻密なプロセスでした。
これに対し、プリントデンチャーは、口腔内スキャナーで取得したデータを元にコンピューター上で設計(CAD)を行い、その設計図に基づいて3Dプリンターで義歯床や人工歯をデジタル出力(造形)します。
このデジタルワークフローは、歯科医療に以下のような革命的な変化をもたらしました。
製作期間の劇的な短縮: デジタルデータによる製作は、従来の義歯製作にかかっていた時間を大幅に短縮します。
適合精度の向上と安定化: 高精度のデータに基づき造形されるため、技工士の熟練度に左右されにくく、患者様の口腔内に「バチッ」と合う義歯を均質に提供できる可能性が高まります。
再製作・修理の容易化: 口腔内のデータがデジタル保存されているため、万が一破損や紛失があっても、すぐに同じものを出力でき、患者様の不安を大幅に軽減できます。
つまり、プリントデンチャーの普及は、
患者様にとって「早く、質の高い、安定した義歯」の提供を可能にし、歯科医療機関にとっては「製作工程の標準化と効率化」を実現する、まさに業界の常識を塗り替える技術と言えるでしょう。

この改訂の目的の考察:デジタル化と質の安定という国家戦略

中医協の資料が今回、具体的な価格と準用技術料を伴ってプリントデンチャーの保険適用案を示した背景には、国が推進する以下の国家戦略レベルの目的が色濃く反映されています。
今回の資料では、3次元プリント有床義歯が従来の総義歯と比較して、
装着後の併発症(潰瘍、疼痛等)が有意に小さくなる
という臨床上の有用性が示されています。
これは、高い適合精度によって粘膜への負担が軽減される、患者様にとっての絶対的なメリットです。
目的の核心
歯科医療の質の均質化と安定供給:
従来の製作法の品質のばらつきを排除し、デジタル技術によって義歯治療の「質」をボトムアップさせることが狙いです。これにより、高齢者のQOL向上(オーラルフレイル対策)という、日本の社会課題解決に直結する成果を確実に出そうとしています。
生産性の向上と技工士不足への対応:
歯科医師・技工士の不足は歯科医療の根幹を揺るがしています。「従来法の一部をデジタル化することで、製作時間の短縮や安定した精度の義歯供給が報告されている」という事実は、この技術が人材不足という構造的な問題の解決策として期待されている証です。国は、この保険適用を通じて、歯科業界のデジタルシフトを加速させ、持続可能な医療提供体制への移行を強く推し進めています。
では、今後どんな目線でこの改訂を見守るべきなのか?
経営の判断基軸として重要な、will(やりたい診療)、can(得意な診療)、must(求められる診療)の3軸のバランス。今回の改訂は、未来の「must」を形成する無視できない大きな流れです。
デジタルへの戦略的投資:
算定要件には、「液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置の導入」または「当該装置を設置している歯科技工所との連携確保」が示されています。これは、貴院がこの技術を扱うための必須条件です。この投資を、単なるコストではなく、将来的な効率化、高品質化、そして差別化への戦略的投資と捉えるべきです。
人材育成と専門性の強化:
「歯科補綴治療に係る専門の知識及び3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されていること」が要件に含まれます。デジタル補綴は、経験と知識が不可欠です。この基準は、単なる機器の導入以上に、デジタル補綴を担える専門人材の育成が、今後の医院の成長力を左右する鍵となることを示唆しています。
「噛める」の先への貢献:
今後、義歯治療は「噛める装置を入れること」で終わりません。プリントデンチャーによる適合性の向上は、患者様の「食べる、話す」機能を改善し、全身の健康(オーラルフレイル対策)に貢献する結果を出すための最有力手段となります。この「治療の先の結果」まで見据えた診療体制を今すぐ整える必要があります。

今後の展望、デジタル化の「本格的な幕開け」に乗り遅れない

今回のプリントデンチャーの保険導入は、日本の歯科補綴分野における歴史的な転換点であり、デジタル化の「本格的な幕開け」を意味しています。
今後は、総義歯だけでなく、部分床義歯へのデジタル技術の展開、さらには口腔機能管理の分野での活用など、デジタルを前提とした多職種連携ワークフローの構築が加速していくでしょう。
また、算定要件に盛り込まれた厳しい施設基準は、国が求める歯科医療機関の機能分化を促し、デジタル化に積極的に取り組み、基準を満たす医院様と、そうでない医院様との間で、提供できる医療の範囲と品質に決定的な差を生み出す可能性があります。
この大きな時代のうねりの中で、最新の技術と知識をいち早く貴院の成長に取り込み、患者様へ最高の医療を提供できる体制を整えることが、これからの医院経営における唯一無二の成長戦略になると確信しております。
今回の診療報酬改定を読み解き発信していくことで、ますますの業界発展ならびに、ご来院いただく患者様の“健口=健康”を延伸し、歯科医療の未来図を共に描き出す礎になれればと存じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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◾️この記事を書いたコンサルタント

山本 喜久

プロフィール詳細

関西学院大学法学部出身。新卒で船井総合研究所に入社。
大学時代から、難関校専門の塾講師として活躍。その時の経験から「人に教える」ことを最も得意とし、それを応用したカウンセリング体制の構築には定評がある。経営者に寄り添いながら、粘り強く「歯科医院経営者の夢を叶える」ことをコンサルタントとしての信条としている。

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