【緊急速報】令和6年度(2024年)FMCが補管から除外?矯正相談料の新設の背景と変更点とは~診療報酬改定の項目詳細の読みとき⑥~」
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- 診療報酬改定・保険改正
目次
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船井総合研究所の榎本徹也です。
本コラムでは、令和6年1月26日に公開された2024年度の歯科診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会総会(第581回)の議事次第をもとに、最新の診療報酬改定情報をお伝えさせていただきます。
今回の改定における大きなポイントは下記の項目になります。
1. 現行の「か強診」が削除され、「口腔機能管理体制強化加算」に全面移行
2.「外来環」が廃止され、「歯科外来診療医療安全体制加算」と「歯科外来診療感染対策
加算」の2つに分けられ、より高い水準の施設基準に変更
3. 「医療DX推進体制加算」や「オンライン初診・再診料」などが新設
4. 医科歯科連携に関する範囲拡大
5. 訪問診療の区分の細分化および算定範囲の拡大
6. 歯科技工士との連携加算の新設
7. 歯科矯正相談料の新設
本コラムでは、診療改正における「『歯科矯正相談料』の新設」、「『大臼歯CAD/CAM冠』『クラウン・ブリッジ維持管理料』の見直し」、「歯科補綴修復の増点」の3点について整理させていただきます。
新設および増点の背景を紐解く
2020年、2022年、それ以前と過去の診療報酬改定でも、新設および増点の理由として取り上げられているものですが、今回の「歯科矯正相談料の新設」および「『大臼歯CAD/CAM冠』『クラウン・ブリッジ維持管理料』の見直し」には、2つの国からの意図があります。
それは、
①歯科固有の技術の評価の見直し
②歯科医療従事者の待遇改善
①歯科固有の技術の評価の見直し
診療改定の短冊では下記のように記載があります。
『歯科固有の技術について、実態に合わせた見直しを行うとともに、歯科医療の推進に資する技術については、医療技術評価分科会等における 検討を踏まえつつ、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応及び 生活の質に配慮した歯科医療の推進の観点から適切な評価を行う。』(中医協 総ー56.1.26より引用)
これは2024年の診療報酬改定の意図することと一貫しており、「口腔機能」というのがテーマになっています。
そのための2024年1月26日の短冊では、口腔機能に関わるような”口腔衛生”、”咬合機能”に関する内容は算定要件の変更や増点がされるようになっています。
②歯科医療従事者の待遇改善
2022年(令和4年)の診療報酬改定に続いてのトピックであり、2024年(令和6年)の改正では、『これは40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師・事務職員・歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%程度)を含む』(診調組 入ー15.12.21改)というのが詳細な背景です。
結果2024年の歯科における診療報酬の改定率は、「+0.57%」と2022年「+0.29%」と比べても約2倍の改定率となっています。
歯科医師人口のうち60歳以上は30%を超えており、歯科衛生士も過去10年間で歯科診療所1件あたりに勤務する歯科衛生士数は1名から2名に上がっています。また、2023年の歯科衛生士の有効求人倍率は23倍と医療従事者の雇用問題が重要な課題であることを理解した国からの措置になっています。
無料矯正相談はどうなる?『歯科矯正相談料の新設』を解説
“結論は、今までのようなアライナー矯正の矯正相談は、新設された矯正相談料の対象外です。
矯正相談料の算定要件と点数は下記の通りで、つまり今まで保険適応となる歯列不正の患者様が矯正相談が来院した場合に行う検査と資料での情報提供は、別途点数が取れるということです。
歯科矯正相談料1 ●●点
歯科矯正相談料2 ●●点
[算定要件]
(1)第13部に掲げる歯科矯正の適応となる咬合異常又は顎変形症が疑われる患者に対し、歯・歯列の状態、咬合状態又は顎骨の形態等の分析及び診断を行い、当該患者に対し、診断結果等を文書により提供した場合に、年度に●●回に限り算定する。
(2)区分番号E000の1に掲げる単純撮影若しくは2に掲げる特殊撮影又は区分番号E100の1に掲げる単純撮影若しくは2に掲げる特殊撮影は別に算定できる。
(3)保険医療材料料は、所定点数に含まれる。
※歯科矯正(矯正治療)が保険適応となる場合
・別に厚生労働大臣が定める疾患(先天性の噛み合わせの異常がある)に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
・前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
・顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
また、保険適応内で矯正治療が可能な歯科医院は届け出が必要で、患者様は地方厚生局の公式サイトより確認をして来院します。
そのため、大多数の歯科医院様は今回の矯正相談料の新設には該当をしません。
“
FMCはクラウン・ブリッジ維持管理料から除外!
『大臼歯CAD/CAM冠』 『クラウン・ブリッジ維持管理料』 の見直し
①大臼歯CAD/CAM冠の要件
【大臼歯へのCAD/CAM冠の保険適応】
2023年12月に急遽追加があった、『大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)を使用する場合』がまず変更点として取り上げられています。これはPEEK冠と言われるもので、まだ取り扱っているメーカーは1つしかないため、気になって使いたくてもまだ入手できていない歯科医院様が多いのではないでしょうか。実際に使用された歯科医院様によると「色味がアイボリー1色しかなく、審美性を気にする方には現段階ではあまりオススメできない」というお話をされていました。
【第一大臼歯へのCAD/CAM冠の保険適応】
今までは、「上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある」というのが、「CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を第一大臼歯に使用する場合 」の条件となっていました。
2024年の算定要件の見直しで、
『第一大臼歯又は第二大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を使用する場合』
は、
〈必須条件〉として、
当該CAD/CAM冠を装着する部位の対側に大臼歯による咬合支持(固定性ブリッジ又は後継永久歯が先天性に欠如している乳歯を含む乳歯による咬合支持を含む。)がある
に加えて、
〈下記①か②のいずれかに該当する〉ことの条件となりました。
① 当該CAD/CAM冠を装着する部位と同側に大臼歯による咬合支持があり、当該補綴部位に過度な咬合圧が加わらない場合等
②当該CAD/CAM冠を装着する部位の同側に大臼歯による咬合支持がなく、当該補綴部位の対合歯が欠損(部分床義歯を装着している場合を含む。)であり、当該補綴部位の近心側隣在歯までの咬合支持がある場合
②FMCは『クラウン・ブリッジ維持管理料』の適応から除外に!
これまでは、『クラウン・ブリッジ維持管理料を保険医療機関単位で算定する旨を地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯冠補綴物又はブリッジを製作し、~~ 』となっていました。
今回の改正では、一部の補綴物がクラウン・ブリッジ維持管理料の適応から除外されることになりました。
〈除外される補綴物〉
・FMC(全部金属冠)の小臼歯及び大臼歯
区分番号M010の2に掲げる4分の3冠(前歯)
区分番号M010の3に掲げる5分の4冠(小臼歯)
区分番号M010の4
・レジン前装金属冠
区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠
歯冠補綴修復にかかる診療内容は軒並み増点
今回の歯冠補綴修復は前述の通り、歯科医療従事者、特に歯科技工士の処遇改善のための増点が意図としてあります。
現在、歯科技工所は材料費が高騰する中、値上げをすることができずに廃業をせざるを得ないところも出てきており、歯科技工士学校も卒業しても給与が低いことを理由に定員割れで成り手不足が大きな問題になっています。
歯科技工士および歯科技工所の廃業は、歯科医療全体の品質の低下にもつながるため、増点がされました。
【支台築造(1歯につき)】
1 間接法
イ メタルコアを用いた場合
(1) 大臼歯 ●●点
(2) 小臼歯及び前歯 ●●点
ロ ファイバーポストを用いた場合
(1) 大臼歯 ●●点
(2) 小臼歯及び前歯 ●●点
【金属歯冠修復(1個につき)】
1 インレー
イ 単純なもの ●●点
ロ 複雑なもの ●●点
2 4分の3冠(前歯) ●●点
3 5分の4冠(小臼歯) ●●点
4 全部金属冠(小臼歯及び大臼歯) ●●点
【根面被覆(1歯につき)】
1 根面板によるもの ●●点
【高強度硬質レジンブリッジ(1装置につき)】 ●●点
【有床義歯】
1 局部義歯(1床につき)
イ 1歯から4歯まで ●●点
ロ 5歯から8歯まで ●●点
ハ 9歯から11歯まで ●●点
ニ 12歯から14歯まで ●●点
2 総義歯(1顎につき) ●●点
【鋳造鉤(1個につき)】
1 双子鉤 ●●点
2 二腕鉤 ●●点
【線鉤(1個につき)】
1 双子鉤 ●●点
2 二腕鉤(レストつき) ●●点
3 レストのないもの ●●点
【コンビネーション鉤(1個につき)】 ●●点
【磁性アタッチメント(1個につき)】
2 キーパー付き根面板を用いる場合 ●●点
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◾️この記事を書いたコンサルタント
榎本徹也
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