現場はどう変わる?SPT廃止と新設「歯周病継続支援治療」の衝撃【令和8年度改定】

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執筆者山本 喜久
コラムテーマ診療報酬改定・保険改正・制度対応
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歯科医院向け
【歯科】令和8年(2026年)診療報酬改定速報と解説【vol1】

皆様

いつも大変お世話になっております。
株式会社船井総合研究所、歯科支援部マネージャーの 山本 喜久でございます。
お忙しい診療の合間に、本コラムをご覧いただき誠にありがとうございます。

本日は、今後の医院経営の舵取りに関わる重要な情報があり、筆を執りました。

2026年度診療報酬改定の指針公開

先日、厚生労働省より2026年度(令和8年度)歯科診療報酬改定に向けた指針となる資料が公開されました。

■ 中央社会保険医療協議会(中医協)令和8年1月23日
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf

膨大な資料を読み進める中で、ある記述に目が留まりました。それは、「歯周病治療の継続管理」に関する項目です。
※SPTとP重防の廃止~統合

ここに記されている内容は、単なる制度の微調整ではありません。これまでの歯科医療における「管理」のあり方が根本から問われる、静かなる、しかし極めて大きな転換点が近づいていることを予感させるものでした。改定直前に対応に追われるか。それとも、今からこの潮流の本質を捉え、着実に準備を進めるか。数年後の医院のステージを分かつのは、今のこの瞬間の「気づき」にあると考えております。

なぜ今、「時流」を深く読み解く必要があるのか?

「点数が高いから取り組む」「低いからやらない」。経営判断として収益性は無視できませんが、それだけでは医院の永続的な発展は望めません。診療報酬とは、いわば「国が解決を渇望している社会課題」そのものです。

根管治療の点数が据え置かれる一方で、「か強診」や「SPTⅡ」が評価され、前回の改定で「口腔管理体制強化加算(口管強)」へと進化した経緯。これは、「削って治す」時代から「生涯にわたり口腔機能を守り抜く」時代へ、歯科医療の役割が構造的にシフトしたことを意味しています。

つまり、国の意図(時流)を深く理解することは、「日本が必要とする医療」を本質的に提供し、その結果として正当な対価を得るための、最も確実な道筋なのです。

先生ご自身の

  • will(やりたい診療)
  • can(得意な診療)
  • must(社会から求められる診療)

この3つが重なり合う領域を最大化するために、今回の資料から読み取れる「3つの未来」を共有させてください。

中医協資料が示唆する「3つの重要キーワード」

今回の資料では「目指す歯科医療提供体制」として、骨太の方針とも連動した以下の3点が強調されています。

1. 医科歯科連携の「深化」(全身管理への関与)

前回の「歯周病ハイリスク加算」の導入に続き、今回の資料からは、生活習慣病管理における歯科の役割への期待がさらに高まっていることが読み取れます。単に医科からの紹介を待つだけではなく、歯科医院側からハイリスク患者を見出し、医科へつなぐ。そうした双方向の連携が、今後は標準的な姿となっていくでしょう。歯科医院が「口腔」を通じて「全身の健康」に責任を持つ。この姿勢こそが、「社会から求められる診療(must)」と「先生方が目指す医療(will)」を一致させる鍵となります。

2. 制度の複雑さからの脱却と、本質的な管理へ ~新設「歯周病継続支援治療」~

長年、臨床現場の先生方を悩ませてきた「ポケット4mmの壁」。状態の変化に応じて「P重防」と「SPT」を行き来する、あの煩雑な運用と患者説明の難しさが、ついに解消される見込みです。

今回の中医協資料(298ページ)には、以下の方向性が示されました。
「歯周病安定期治療(SPT)及び歯周病重症化予防治療(P重防)について、歯科診療の実態を踏まえ、整理・統合し、評価を見直す」
そして提示された新名称案が、「歯周病継続支援治療」です。

これは、単なる事務手続きの簡素化にとどまりません。「数値による区分け」ではなく、「患者の状態に応じた継続的な支援」そのものを評価するという、国からのメッセージです。

これまでのメンテナンスは、制度上の区分を確認する作業に意識が向きがちでした。
これからは違います。

「リスク因子はどこにあるか」
「生活習慣に変化はないか」
「全身疾患との関連はどうか」

そうした本質に立ち返り、患者さん一人ひとりを深く診る診療体制が求められます。制度に振り回されることなく、「守るべき医療」を全うできる環境が、ようやく整いつつあるのです。

3. 「機能」を診る眼(オーラルフレイル対策)

「新製有床義歯管理料」の算定単位が「1口腔につき」から「1装置につき」へ見直される案も出ています。これは、単に義歯を入れることではなく、よりきめ細やかな管理と、その先にある「機能の回復(食べる、話せる)」に対する評価の現れと言えます。

「何をどれだけ食べられるようになったか」は、栄養摂取の改善に直結します。ここでは、歯科医師のみならず、管理栄養士(RD)を含めたチーム医療の真価が問われることになるでしょう。

まとめ:制度変更を「確信」に変えるために

本日の内容は、来るべき変革の序章に過ぎません。次回のコラムでは、今回の改定が「スタッフさまの働きがい」や「医院の組織力」にどのような化学反応をもたらすのか。その可能性について、さらに深掘りしてお伝えしたいと考えております。

変化を恐れることなく、むしろ進化の糧とする。
そんな先生方の挑戦を、私たちはこれからも全力で支え続けてまいります。次号の配信も、ぜひ楽しみにお待ちください。

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歯科医院向け
【歯科】令和8年(2026年)診療報酬改定速報と解説【vol1】

執筆者 : 山本 喜久

「子どもの未来を変えることは、地域の未来を変えること」
関西学院大学卒業後、船井総合研究所に入社。入社以来、歯科医院経営コンサルティングに従事し、小児歯科・小児矯正を起点とした医院成長支援を専門とする。年間医業収入4,000万円規模の医院から50億円規模の大型医療法人まで幅広く支援。カウンセリング体制構築、院内オペレーション改善、組織づくりまで現場に深く入り込み、歯科医院が地域住民の健康と生活を長期的に支える存在となるための経営支援を行っている。