SPT(Ⅱ)削除統合・CAD/CAMインレー新設による経営への影響とは?

皆さんこんにちは。船井総合研究所の松谷と申します。
令和4年の診療報酬改定が先日4月1日よりなされております。
今回の診療報酬改定の分析と最適な対応法とはどのようなものか考えたいと思います。

弊社の分析では今回の改定のポイントは下記あたりにまとめられると考えます。

1)SPT(Ⅰ)と(Ⅱ)の統合によるSPT(Ⅱ)の廃止
2)CAD/CAMインレーの保険適応
3)口腔機能管理料の対象年齢変更
  ⇒小児:18歳未満/高齢者:50歳以上
4)フッ素塗布に根面う蝕が追加
  ⇒65歳以上の根面う蝕罹患患者が対象
5)口腔細菌定量検査の新設

SPT(Ⅰ)と(Ⅱ)の統合によるメンテナンス戦略の考察

SPT(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分が無くなりSPT(という一つの項目)に統合される点については大きな変更点だと言えます。

具体的にはSPT(Ⅱ)は存歯数20歯以上の場合830点でしたが、SPTに統合されることにより、残存歯数20歯以上で350点となります。
処置内容の変化としては、従来のSPT(Ⅰ)と同様に『検査は包括されない』という扱いなので、処置内容はSCやSRPといった歯石やプラークを除去する処置のみとなります。

この点だけ見ますと、マイナス改定のように見えます。
しかし、上記で記載しましたように2022年4月以降のSPTにおいては検査は含まれない項目となりますので、検査を実施すれば検査の点数をSPTとは別に算定するということになります。
従って、精密検査であれば400点をSPTの350点に加えて算定するということになります。
合わせて、か強診認定施設であれば、か強診加算として新設された120点も加えて算定できますので、合計870点となり、SPTⅡとの差は+40点となり点数自体は上がるということになります。

基本検査を実施する場合は200点をSPTの350点に加えて算定することになります。合わせて、か強診認定施設であれば、か強診加算として新設された120点も加えて算定でき合計670点となります。

このようにSPT(Ⅱ)が廃止されSPTに統合されることは、メンテナンスの内容と算定を患者様の口腔内の状態に応じて適切に変化させる必要性が出てくるということになります。

精密検査と基本検査では所要時間が異なると思いますので、チェアタイムをどのように設定するのかということを考える必要があるかと思います。

加えて、検査内容が来院ごとに異なる患者様の場合、患者負担金額が変わりますのでどのように説明するのかといった点も検討しておく必要があるかと思います。

また、か強診という施設基準を保持していることのメリットは変わらずあると言えます。具体的には
①か強診加算(120点)が新設された
②算定頻度は3ヶ月おきでなくてよい。(毎月可能)
③エナメル質初期う蝕管理加算(260点)の算定が可能
というメリットがあり(残り)ますので、やはり歯科医院経営において施設基準“か強診”を届出ておくことは重要と考えます。
国の方向性としてもかかりつけ歯科医機能の強化を重要視していることが伺えます。

CAD/CAMインレー新設に関する分析

今回、CAD/CAMインレーが新設項目として保険適用されました。これはCAD/CAM冠の保険適用に続く、診療のデジタル化、脱金属の流れの一つと言えます。

内容を整理します。

・点数は750点
・小臼歯(4番、5番)が該当
・上下顎7番が残存しているうえでの大臼歯(6番)が該当
等となっています。

また、CAD/CAMインレーに係る特定保険医療材料料という、ブロック代に相当する点数の算定が可能と言えます。
1 小臼歯
(1) CAD/CAM冠用材料(Ⅰ)188点
(2) CAD/CAM冠用材料(Ⅱ)181点
2 大臼歯
CAD/CAM冠用材料(Ⅲ) 350点
また印象やセットに伴う点数も従来通りに算定する流れとなります。

CAD/CAM冠が適用された際と同様に、CAD/CAMインレーも今後、実際に診療内でどのような患者様に使用するのが適切なのか、どの程度の技工料が必要となるのか、といったことを総合的に検討しながら使用ケースが増えていくことと想定します。

CAD/CAM冠の対象領域が増えていくことはセラミック等の自費インレー等を含む保険外補綴の患者カウンセリング戦略の見直しの必要性があると考えます。

例えば、CAD/CAM冠が保険適用されていなかった時代の補綴カウンセリングは、「保険の詰め物・かぶせ物は金属となり、金属の色となります。自費はセラミック素材なので白いです。」といった審美的な側面を打ち出すわかりやすいものでした。

しかし、保険適用でのCAD/CAM冠・インレーという選択肢がある現在においては、上記の方法を変えていく必要があります。

具体的には、耐久性の側面、カリエス再発防止の側面を中心とした補綴カウンセリングへとシフトしていく必要があると考えます。

ここまで、令和4年歯科診療報酬改定の一部の内容について考察をしました。
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(外来講座担当)株式会社 船井総合研究所 坂下大樹
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