【キュアからケアへ】小児歯科の保険算定について

2019年10月08日 (火)

コラムテーマ:
保険診療 (増患  集患)

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今回は、小児歯科の保険算定について記述させていただきます。

厚生労働省のデータによると
う蝕歯数、う蝕歯を持つ小児の割合は年々減少しております。

弊社が歯科医院でよくお聞きすることは『う蝕主訴の小児レセプトが減少しており、小児の治療ではたいした売り上げにならない』ということです。

時流はキュアからケアに移行していますが、皆様はしっかりとケアへの波に乗れていますでしょうか。

弊社で推進している小児歯科は、う蝕処置や小児予防だけではなく、歯列不正を予防するための情報提供やトレーニングを提供し、包括的に小児の口腔機能の育成を行なっております。

今回はその一歩となる小児の保険メンテナンスの算定についてご説明させていただきます。

小児のメンテナンスの算定点数としては大まかに、下記の4種類ございます。

①乳歯列
初診(237点)+外来環(23点)+乳幼児加算(40点)+歯管(110点)+実地(80点) 合計490点

初診(237点)+外来環(23点)+乳幼児加算(40点)+歯管(110点)+実地(80点)+Ce(260点) 合計750点

②混合歯列
初診(237点)+外来環(23点)+歯管(110点)十実地(80点)+混検(80点)+歯清(68点) 合計598点

③混合歯列(歯石が付着している場合)
初診(237点)+外来環(23点)+歯管(110点)+実地(80点)+混検(80点)+歯清(68点)+SC(68点)+P基処(10点) 合計676点

※か強診を取得されている医院様の場合で想定しております。
※口腔機能加算を全てに足すと、100点加算できます。
※歯管が書類提出の算定となるので、上記の合計から90点プラスが保険点数になります 。
※地域によって算定内容が変わってくる場合がございます。
※歯管100点については文書提供10点を含んだ点数です。

上記のような算定方法は、あくまでも生産性の高い
医院様の一例ではございますが、
上述のように収益性・社会性の両輪を実現していくために
以下の2点が重要です。

ポイント①か強診の取得

か強診を取得している医院では、エナメル質初期う蝕に罹患している患者に対して、フッ化物歯面塗布処置後に、260点を毎月、算定することができます。

か強診を取得していない医院では、月1回を限度とし2回目以降は中2か月あけ、120点しか算定できません。

保険点数の差は、か強診取得医院の半分以下となります。

ポイント②小児の口腔機能管理加算の算定

15歳未満の口腔機能の発達不全を認める子どものうち
C項目の内、咀嚼機能を含んだ3項目以上に該当する患者に対して算定できます。

A分類 食べる(咀嚼機能、嚥下機能、食行動)
B分類【咀嚼機能】
下記がC項目
・歯の萌出に遅れがある
・機能的因子による歯列・咬合の異常がある
・咀嚼に影響するう蝕がある
・強く咬みしめられない
・咀嚼時間が長すぎる、短すぎる
・偏咀嚼がある

B分類【嚥下機能】
下記がC項目
・ 舌の突出(乳児嚥下の残存)がみられる(離乳完了後)

B分類【食行動 】
下記がC項目
・哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりムラがある等

A分類 話す
B分類【構音機能】
下記がC項目
・構音に障害がある
・口唇の閉鎖不全がある
・口腔習癖がある
・舌小帯に異常がある

A分類 その他(栄養体格・その他)
B分類【栄養(体格)】
下記がC項目
・やせ、または肥満である(カウプ指数、ローレル指数で評価)

B分類【その他】
下記がC項目
・口呼吸がある
・口蓋扁桃等に肥大がある
・睡眠時のいびきがある
・上記以外の問題点

※参考:「口腔機能発達不全症」に関する基本的な考え方(平成30年3月日本歯科医学会)

また日本歯科医学会によると算定には、下記の3点も考慮しなければなりません。

●口腔機能管理計画書の作成及び患者への提供
●患者に応じて口腔内外のカラー写真撮影を行う
※初回算定日には必ず実施し、その後は、3回算定するにあたり最低1回以上撮影
●実施した管理内容を診療録に記載あるいは添付

弊社の会員様でもマイナス一歳からの予防矯正の取り組みをしている医院様は小児口腔機能管理加算の算定をされています。

※小児歯科&予防矯正について、詳しくまとめたこちらをご覧ください。
https://dental.funaisoken.co.jp/booklet/

また別件ではございますが、地域によっては、子ども医療費助成制度を導入しているところもあるため、0歳~18歳までの小児患者の保険診療負担額が無料、一部負担となります。

特に口腔機能管理加算を算定して、ただしい情報提供を行うことで、子育てやお口の問題について知らなかった親子にとっても貴重な情報となります。

「小児のう蝕本数の減少≠小児では売り上げがあがらない」ではなく、キュアからケアという時流に沿った診療を行うことで医院の売上にも寄与するだけでなく、お子様の健康のためにもなります。

ぜひその一歩として、保険制度での診療体制の構築から始めていきましょう。

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

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◾️この記事を書いたコンサルタント

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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